ざっっっけんな、どんな未来も上回ってやるわよ。
やるしかない。
難しい事は考えない。
今ここであの闇を私が滅ぼす。
「ヒボシ下がってて……」
「うん……絶対死なないでね。私、信じてるからね」
死ねないよ。もう。
「あああああぁぁぁぁぁ!!!!!!!」
踏み込む。
地が砕ける。
奴の真横へ移動。
朱の灼光を振りかざす。
超一閃。
奴も奴の周囲に漂う闇も、空間毎焼き祓う。
「何処だああああぁぁぁ!!!」
滅ぼした中に奴はいない。
気配がした。
巨大な斧が身体に迫るような危険な気配。
「ああああああああああぁぁぁ!!!」
全ての血が湧き立ち、全細胞が魔のエネルギーを絞り出す。
ギリギリでバク宙のように避け、そのまま体を捻じり極炎の薙ぎ払い。
前方の木々が根こそぎ倒れた。
しかし奴はいない。
私は着地して、視覚と気配を最大限に働かせて奴の居場所を辿る。
後ろか……
何か感じる。変化だ。
さっきの斧の攻撃みたいな時も感じた気配。
速くてよく見えなかったけど、きっと王冠か何かが変化しているんだろう。
それにしても速過ぎる……予め段取りしてるみたいに効率的な動きだ。
後方から鋭い槍のような気配。
人の武器とは全く異種の威圧感。
来る。
銃弾みたいな速さ。
軌道の気配を頼りに避けるしかない。
「らあああぁぁぁっ!!!」
いける。確実に避けれる。
あのスピードなら急に方向は変えられない。
ブシャアアア!!!
「うっぐぅぅぅっっっ」
太刀を持つ反対の掌の薬指と小指辺りが吹き飛んでいた。
「ラーーークーーーノーーー!!!」
ヒボシが叫びながらこっちに来る。
「来ちゃダメ!!!」
一瞬の判断の遅れで二人共死んでしまうから。
確実に避けたのに……
ん……あれは……別の角度から飛んで来た王冠に攻撃されたのか。
何故なの……?
あの速さなのに、なんで二重攻撃する必要があったの?
むしろ、誘導して確実に決めたいような意思を感じる攻撃だった。
それにさっきといい、まるで私の動きを知っているみたい……
知っている……?
……
未来視……?
次の気配がする。
魔術を使うのか。
私の頭上広範囲に紫電の塊が帯電している。
雷……
どうしよ?
私の怪力でも光速は避けれないよ。
逃げ場が無い。
奴は何処?蚊帳の外で見ている。
余裕な気配ね……
ヒボシは?号泣して私の名前を呼び続けている。
そっか……手、こんなんだもんね。
……
ふざけんな。
ふっざけんなよ!!!
運命。
「ざっっっけんなぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」
心の奥底が震えて、何かが目覚めた。
私の意思がその目覚めた何かと契約した。
内容は運命に抗い続けること。
報酬は眠っていた力。
体中の魔のエネルギーを根こそぎ朱色の太刀に流し、神聖な炎を一気に頭上に放出した。
朱色の太刀は煌々と激しく燃焼し四方八方に閃光を放つ。
そして、神代のツルギのように、無垢で鮮やかな炎を際限なく論理から外れたように顕現する。
奴の紫電の塊は一瞬で跡形も無く消え祓われた。
それどころか、行き場を失った膨大なエネルギーは、シンボルゾーン全てを囲うような朱の神聖な炎によるしめ縄の神域を形成し、大炎海みたく虚空に溢れる朱の流動ともなり、地にも宙にもどこかしこにも鳥居のような流動の門を数えきれない程に形成した。
奴に動揺の気配が視えた。
「未来視使ってんでしょ?」
私は手からボタボタと血を流しながら奴に言い放つ。
「クルルル」
奴は静かな威圧を向けてくる。
「どんな未来も上回ってやるわよ……見せてあげるわ……あんたがどう足掻いても勝てない無数の未来……目、逸らさないでね」
答えなんて簡単だ。
先回りされてもその速さを上回ればいい、ただそれだけ。
きっと奴が持つであろう未来視の能力は長い時間の未来は視えない。
必ず勝てる戦いだから始めたとしたのなら、あんなに動揺するはずがない。
短い未来しか視えないんだ。
一寸先の未来が視えたとしても、対応出来なくしてやればいい。
私の気配が変わったのを察知したように奴は唸り声を上げた。
「クルルルルルルル……」
至極怨讐を込めたような唸り声。
そして、目前に魔法陣を展開しだした。
きっと不死の魔獣の顕現だ。
させない。
ぶっ潰す。




