メリケンシャーク、海中にて。
私はその構えを真似る。
こんな姿をカナタが見たらどれほど喜ぶだろうか?
ソリッドマンと私は円を描くように奴の周囲をゆっくり移動し、確実に仕留められる瞬間を見定める。
一つ間違えて、あの巨体からの一撃を受けてしまえば恐らく即死だ。奴が持つ魔のエネルギーは尋常じゃ無いと魔圧から窺える。
ヒボシは私の背後で手を組んで祈るように見守っている。
……
ソリッドマンの目が光った。
今――
私とソリッドマンは交差するように一直線に一閃を放った。
位置が入れ替わる。
獣怪獣の腕が二本と、巨大な尻尾が宙を舞った。
獣怪獣は再び絶叫する。
海上が揺れる程の憤怒の咆哮がメリケンパークを揺らす。
いける。
やっぱりカナタの言った通りだ。ホント強い、ソリッドマン。
その時、一瞬で超爆発が起こった。
信じられない爆音、威力が果てしなさ過ぎて、空間がその質量にグニャリと歪まされる程だった。
私は咄嗟にヒボシを抱えて、朱の大型バリアを展開し後方へ飛びのいた。
バリアの能力が無かったら、この瞬間に終わっていただろう。
獣怪獣が信じられない量の魔のエネルギーを込めたインパクトを二本の腕を使い、二度、地面に叩きつけたのだ。
奴が作った大きなクレーターの周囲が非常に高く隆起している。
「ヒボシ怪我は無い?」
「うん、大丈夫だよ!おかげさまで」
クレーンゲームのように私に抱きかかえられながらヒボシは微笑む。
ソリッドマンは、一番高く隆起した地面の上で腕組みして奴を見ている。
獣怪獣の異形は一本の腕を私達に向け、ジェルで出来たキューブのような物体を魔術で出現させては念動で私達の目の前に放り投げた。
青白い光が分裂する様に増殖する。
クソッ爆弾。
魔のエネルギーを絞り出し全力でバリアを展開しながら、海の方へと特大ジャンプする。
全力の魔を注がれた朱のバリアは半球体の様に私達を覆い、朱の濃度が上がり、ガーネットの様に輝く。
海上の上を大きく飛ぶ私達に、うみねこが驚いて鳴きながら何処かへ飛んでいく。
奴のジェル爆弾が眩しく光った。
絶壁のバリア越しでも骨折しそうな衝撃、バリアに魔を充填し続け対抗する。
なんとか耐えきれた――
しかし、その衝撃により海のど真ん中まで吹き飛ばされる。
「ヒボシ!ヒボシ!何処!?」
「わっぷわっぷ」
ヒボシが少し離れた場所で溺れている。
私はすぐに隣まで泳いで行き、声をかけた。
「ヒボシ落ち着いて!私に掴まって!」
「ゲホッ……うゔ……」
ヒボシはなんとか私に掴まり、落ち着きながら海水の浮力に身を任せている。
地面が無いのはやりづらいな。
あいつは何処?
地上を見渡したが奴はいない。
ソリッドマンが私達の方へ急いで飛んで来ているのが見えた。
海中か――
気が付いた時には、奴の斬れた太い尻尾の先端が、サメの尾びれのように荒波を立てて目の前まで 近づいていた。




