↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
刻印の考古学者 〜冴えない能力の使い方〜  作者: 音鳴 凪
ソルステンの闇

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
31/68

30

「第二王朝の時代、その塔はどういう位置づけだったのですか?」


「我々の研究では、その塔はソルミア河を含む東部地域の中継拠点として、重要な役割を果たしていたと考えている。現在は『ガランの塔』と呼ばれているそうだ」


「現在は、というと、昔は違う名があったのでしょうか?」


「当時の呼び名は失われてしまっているのだ。だが、東部地域は、その塔からの恩恵を受け、驚異的な豊穣をもたらしていたと伝えられている」


「今はそうではない、ということですね」


「ああ、今は普通の農地が点在するだけだ」


「そこまで分かっているとは」


 クレイが感心したように言う。


「我々は長年この研究に携わってきた。ガランの塔についても、以前から調査したいと考えていたが、博士の一派からの監視もあり、その機会は持てなかった」


「私は東のほうには行ったことがないのですが、このあたりからどれくらいの距離でしょうか?」


「徒歩で10日ほどだ。まずソルミア河に辿り着き、そこを渡るとガランの街がある。塔はそこからさらに半日ほど東だ」


 ライルは手元の地図を取り出すと、エルンストの言葉に該当する箇所に印をつけていく。


「我々としても調査を続けたい。そのため、君たちがガランの塔を調査した後、ガランの街で合流することを提案したい」


「わかりました。合流後、その結果に基づいて、次の行動を決めましょう」


 クレイはエルンストの提案に頷いた。


 エルンストたちは施設に関するさらなる情報収集を続け、クレイたち四人は先行してガランの塔を調査する。その後、ガランの街で落ち合い、情報を共有する計画だった。


 ランタンの灯りの下、さらに細かい計画が話し合われた。


「夜明けとともに出発するほうが良いだろう」


 エルンストはそう言い残し、テントを出て行った。



「サラさん、エルンストさんたちは信用できそうですか?」


 装備を整えながら、クレイが低い声で問いかける。


「少なくとも嘘はついていない。あたしの能力が感じ取れる範囲ではだが」


「彼らがここまで知っているということは、少なくとも『星の力』の本質について、我々と考えを共有していると思います」


 クレイは、エルンストから託された「歴史を記す板」を慎重に包む。


「しかし、ヴェルナー博士の動きが分からない以上、すべてを明かす必要はないでしょう」


 クレイはアルマの方を振り返った。


 彼らが味方であるとしても、アルマの読解術の力は、今はまだ秘密にしておくべきだろう。


 荷物の準備が終わり、四人は互いの装備を確認し合った。限られた食料と水、武器、そして各自の特技を活かせる道具類。


 クレイは慎重に石板を背嚢の中央に収め、剣を腰に下げる。アルマは図書館から持ち出した文書は置いてきたが、その内容を記したメモ帳を忍ばせていた。


 サラは曲剣を確認し、ライルは地図と羅針盤を準備に加えた。彼の山岳ガイドとしての経験が、この旅でも大いに役立つはずだった。


 夜明けの光が水門施設に差し込み始めた頃、四人はエルンストたちと別れの挨拶を交わしていた。


「気をつけるがいい」


 そういって、エルンストはクレイの肩に手を置いた。


「幸運を祈っている」


「私たちも同じ思いです。歴史から目を背けるのではなく、しっかりと向き合って、正しい未来を選びたい」


 その言葉に、エルンストは満足そうに微笑んだ。


 朝靄の中、東の空には淡い光が広がり始めていた。遥か遠くに見える地平線の彼方に、ソルミア河が流れ、その先にガランの塔が佇んでいるはずだった。


「では、行きましょう」


 クレイの言葉に、四人は歩み始めた。


 遠い昔、『星の力』によって豊かさをもたらしていたガランの塔。その本当の姿を確かめるために、四人の旅は続いていく。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。