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第四惑星  作者: ブルーベリージャム
第四章 カルー少佐
73/142

71話 収穫祭

オの都の収穫祭は賑やかに行われた。

例年よりも規模が大きいとの説明通り、中央広場を始め、いくつもの広場で祭り屋の催しが行われ、街の人々は飲んで食べて歌って踊っている。

クリスとリサはアビー姫の招待を受けて一緒に楽しんだそうだ。


その翌朝、オールドマッケイ楽団をレギウス村に迎えた。

レイチェルに荷馬車を収納してもらい、レギウス邸の転送門を通り、レギウス村の外政官の館から出てもらうと、レギウス村の通りに出る。

オの都は陽が昇る前の時間だったが、レギウス村は既に明るい。

楽団員は眠そうだったが、移動先が既に朝を迎えていたので慌てて用意を始めた。


「荷馬車の移動方法も考えないとなぁ。いつまでもリサやレイチェルに頼っていては無理が生じそうだ。」

「うーん、大きめの門を作りますかぁ?」

「前に作った時は失敗したんだろう。」

「そうなんですよぉ。艦の作業台では直径2mの円しか繰り抜けないのでぇ、2枚を張り合わせたんですが、上手く保持出来ないんですよねぇ。

私とリサちゃんの手作業でも大きな遠見の窓は出来なくてぇ、頑張りすぎてリサちゃんは倒れちゃいましたぁ。」

「大きな遠見の窓はナノマシンの数がそれだけ必要なんだろうな。」

「そうですねぇ。」


ホークが外政官の館にやってきた。

「オールドマッケイ楽団の皆さんは問題なさそうですね。」

「ああ、11人全員の顔認証もクリアしたし、顔写真付きの身分証明書も付けて貰った。収穫祭は気楽に楽しめそうだ。」

「こちらも仕事は全て中断しました。生産部員も全員カッシーニ81から退去しましたよ。」

「そうか。じゃあ、あとはメティスに任せよう。」

「そうですね。」

「よし、俺たちもここを閉めて広場にいくぞ。」

今日はオの都のレギウス邸と王都ミラルダのレギウスの館も閉館にした。

外政官の館に残っていた職員を追い出し、広場に向かった。

俺たちも祭りを楽しむ。

楽団の準備とは別に、村人たちにも太鼓や笛を鳴らし踊り歌っている連中がいる。

酒場や飯屋からは笑い声が聞こえ、楽団の周りには子供たちが集まってきた。


収穫祭が始まる。



二の鐘の音が頭上から神の館全体に響き渡る。

0900、収穫祭の正式な始まりは神の館でのレイド神官による、恵みの神、女神アドニスへの祈りの言葉で始まる。

祭壇に祭られた作物と神の館に集まった村人たち。

今年の恵みに感謝し、来年の恵みを祈念する。


その後に結婚の儀が始まる。

今日は4組が1時間ごとに式を挙げる。

ホークとパメラは3組目の1400からの予定だ。



神の館の祭壇前に俺たち"月の人"全員と村の職人たちとその家族たちが集まった。

さらに月の人の結婚の儀ということもあり、数十人の村人が集まっている。

ホークとパメラは建設担当官として村人たちとの付き合いも多く、さらにパメラは結婚前の準備として村の女性陣にお世話にもなっているそうだ。

祭壇前の中央にレイド神官が立つ。

俺たちの前列にいる教士見習いの子供たちが結婚の儀の歌を歌う中、左手からナディア教士の先導で白い布服を纏ったホークが歩いてくる。

ホークが中央に着くと、右手からガレス教士に先導されて白い布服のパメラが歩いてくる。

二人が中央に揃うと歌が止んだ。


レイド神官が二人に近付く。

両手で木製のトレイを捧げ持ち、ホークとパメラの二人はその上に載っている2枚の銀貨をそれぞれ1枚づつ手に取る。

2人は祭壇に歩み寄り銀貨を祭壇中央に置いた。

レイド神官が祝福の祈りを唱え、ホークとパメラが誓いの言葉を言う。

「ここに、レギウス村のホークとパメラ=クルーガーの結婚の誓いをオイゲン神に捧げる。」

その言葉が終わると、祭壇中央に光が溢れた。

銀貨は2つの銀の指輪となり、二人はそれをお互いの左手の薬指にはめた。


教士見習いの子供たちが再び歌を歌い始める。

ホークとパメラは俺たちの方に向き直り、二人揃って頭を下げた。

二人は腕を組んで共に歩み、俺たちの中央にできた通路を通って館を出て行く。

俺たちは歓声と拍手と麦の実を二人に浴びせた。


「良かったな。」

「そうじゃな。ファルス。」

俺はクリスの手をとり、広場へと戻った。



広場とその周辺で楽団の演奏を楽しみ、村人と踊り、歌を歌った。

夕方、酒場の赤毛の狼亭のテーブル1つを占有して旧司令部の6人と生産部第1班のロッテとシャーリーが集まっている。

男は俺とホークの二人だけだ。

ホークとパメラは白い布の服から着替えている。

ホークはいつものボディスーツだが、パメラは村人たちと同じ皮と布で出来た服を着ている。


「もう、大変でしたよ。結婚の儀の準備に予行練習。家事見習いとして食事の用意や掃除に洗濯を20日間もやらされたんですから。」

最近パメラを見なかったのは、そのせいか。

「でも今夜からは家で食事を作って生活するんですよね。」

「ううん、新しい家には2日前から住んでいて、ベッドとかの家具を用意したりしてたから、もう暮らしてるのよ。」

「あれ?ホーク管理官はカッシーニ81で生活してますよ、ね?」

「そうです。結婚の儀の前でしたから。今夜からは家で生活します。」

「おおー。」

「そうかそうか。」

「ふふふ、二人の生活が始まるのねぇ。」

「そうですか?野宿とあんまり変わらないですよ。きっと。」

「それよりお子さんですよ。やっぱり2人は欲しくないですか。」

「ミララスさんの家みたいに娘さん二人なんてどうですか?」

「お兄ちゃんと妹さんも良いかもぉ。」

「オルトス君とエステルちゃんですね。あっ、二人にも結婚の報告に行かないと。」

「うむ、それは重要じゃな、リサ。」

「あ、それ私たちも連れて行ってくださいよ。」

「そうですよ、誘ってくださいよぉ。レベッカも言ってましたよ。」

「レベッカと言えば、パトリックとはどうなんじゃ?」

「あー、そっちは無いですねぇ。」

「そうねぇ。」

「2班の男はダメダメだって、メラニーさんとキキさんが言ってましたからねぇ。」

「知ってる?あいつら向かいの猫じゃらし亭の女の子がお気に入りらしいわよ。」

「ほぉ、そうなのか。」

「ええー知らないですよぉ。なんですか、なんですか。」

「私も聞きましたよ。確かバベル副長がルークとトミー君を誘ってお店に毎日行っているって。」

「えー、そうなのぉ。」


「ホーク、これ、抜け出した方が良く無いか?」

「しかし、私たちの結婚祝いの席なので、抜け出す訳には。」

「すでにその目的は忘れられ、ただの女子会だぞ。これ。」


「1班の男はまだましかなぁ。」

「リサはステフと良い仲じゃな。」

「クリスー、良い仲じゃないですよぉ。はぁ~。」

「なあにぃ?悩みでもあるのぉ。」

「いやぁ、18歳ですからねぇ。そりゃ男の子同士の付き合いもあるでしょうけど、ちょーっとダニエル君とくっつきっぱなしというか。

いつも一緒なんですよね。あの二人。」

「あー、それはありますね。」

「マスターポッドも隣同士だねぇ。仲良いですよ、あの二人。」

「きゃぁー。」

「それに、若いのも良いですけど。なんか、こう、もうちょっと男らしさというか、こう引っ張ってくれる感じというか、力強さが欲しいですねぇ。」

「ふむ、ホーキンス管理官タイプじゃな。レイチェル。」

「ええっ。うーん、それはタイプですけどぉ。」

「パメラさんは、ホーク管理官の何処に魅かれたんですか?」

「ええ!何処って・・・」

パメラがホークの顔を見た。

釣られて女性たちの視線も集中する。

ホークは何も言わず、パメラの顔を見つめ返し、微笑んだ。

「・・・」

パメラは顔を赤くして、俯いてしまう。


「あー、はいはい。」

「いいわねぇ。」

「あっ、果実酒お代わり頼みましょう。」

「イノ豚の焼肉も追加しよう。リサ、頼む。」

「えー、ファルスさんはクリスに頼めば良いじゃないですか。」

「なに?」

「そっかぁ、お二人も直ぐですよね。」

「いや、うちらはまだ、そんな、」

クリスがちらりとこちらを向いた。

俺と目が合う。

クリス、顔が赤いぞ。


「あー、はいはい。」

「いいわねぇ。」

「もう、幸せな二人は追い出しちゃいましょう。ここは私たちのテーブルですよ。」

「なに?」

「はいはい、もう帰った、帰った。ホークさんとパメラは家で幸せにやってくださいね。」

「ですねぇ。それじゃあ、お二人はそろそろお帰りに、ね。」

レイチェルに促され、ホークとパメラは席を立つ。

「それでは、私たちはこれで帰ります。皆さん今日はありがとうございました。」

二人は揃って頭を下げて、手を繋いで店を出て行った。


「幸せかぁ。」

「私たちには、まだまだですよねぇ。」

「シャーリー、ブライアン副長がお気に入りじゃなかった?」

「いやいや、格好良いとは思ったけど、パートナーとは違うわよ。」

「パートナーかぁ。」

リサが俺の顔を見た。

「ファルスさん、なんでまだ居るんですか。」

「なに?」

「もう、ここから先は女の子の秘密の話し合いの場ですよ。クリスと二人で帰ってください。」

「いや、帰れって言っても、」

「はいはい、じゃあ、ファルスさんとクリスも、ね。」

レイチェルは俺とクリスを追い出した。


「どうするクリス?今夜は第二集会所にベッドを用意してあるが、まだ早いよな。」

「外政官の館に行こう。オの国で買った果実酒が2階の部屋に置いてある。」

「お、そうなのか。じゃあ、あの店でイノ豚の焼肉とサラダでも買って行くか。」

「うん。」


外政官の館の2階には5部屋がある。

2部屋を俺とクリスの執務室、2部屋を外からのお客様を迎える応接室として用意している。

残り一部屋は空き部屋として物入れにしていたと思っていたが、ここも普通の部屋として調えられていた。

俺たちはテーブルにつき、食事を食べ、会話をし、果実酒を飲み、ベッドで眠りについた。


■■■


「ねぇ、リサちゃん。あなた、酔ってるのぉ?」

「えっ、酔ってないですよ。まだ始まったばかりじゃないですか~。夜はこれからですよ~。」

「酔ってますね。」

「うん。」

「あら、健康チェックが停止してるわぁ。リサちゃん、ボディスーツ交換しないと。」

「ふふふ、違います。裏メニューがあるんですよ。」

「裏メニュー?」

「お教えしましょう。まず設定メニューを開いて、解毒の設定変更をします。画面のここを5秒間押して、2回タップして~、上上下下左右左右、」

「なんで、こんな事知ってるんですか~。」

「なんで?」

「え~、お酒飲んだら、酔ってみたいじゃない。あっ、ここで停止時間も設定できるから、6時間ぐらいにしておくといいですよ。」

「私は、どうしようかなぁ。1時間にしとこうかしら。」

「はい、6時間にしました。」

「じゃあ、改めてかんぱーい!」

「かんぱーい!」


次回72話「リセット」

世界のルールのお話です。

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