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第四惑星  作者: ブルーベリージャム
第三章 レギウス村
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48話 引っ越し

「それで、アレク。鉱脈の方はどうだ。」

「そっちは問題ない。と、いうより、ここはいいぞ。鉄の含有量は40%近くある。

鉱脈の深さも十分ある。ゴブリン共には渡せないな。」

「そうか。大佐?」

マクレガー大佐は屈み込んで両手で足元の土に触れている。

「ううむ。私の力が役に立たんものかと思ったが、駄目だな。

ここは畑に向いとらん、としか分からん。」

「そうですか。」

「畑にとって悪い物を取り除こうとすれば、山が崩れるな。」

これは大佐流の冗談なんだろうか?

リンダがいたら笑うのかな。

ん?リンダは他の場所か。

待て、何か引っかかるな。

畑にとって悪い物を取り除く。

取り除くと山が崩れる・・・。


(ファルス、東端の確認終了だ。そっち戻るぞ。)

(ああ、クリス。分かった、気を付けて戻ってこい。)


「アレク、東端は終わったようだ。」

「ああ、ジェリー曹長からも連絡が入っている。

向こうはゴブリンの手が入っていなかったそうだ。最初の穴掘りが必要だったと。

こっちもサンプルは取った。もう出れるぞ。」


(あっ、少佐。上に来てもらえますかぁ?)

外に出た所でレイチェルから声を掛けられた。

上を見上げるとレイチェルが手を振っている。

「どうした?」

上に上がるとマルビン兵長とリンダが穴の出口にいた。

「カン少佐。洞穴内部は階層構造になっていまして、最上部から外に出た所です。」

「で、この先、山の斜面に沿って道が続いているって、訳。」

リンダが指差すとその通り、斜面に道らしき跡が見える。

「東側の斜面を確認しましたが、あちらにはありませんでした。ここが道の終点のようですね。」

「リサは?」

「この先を見てくるって。あっ、今から戻ってくるそうです。」


(リサ、道の先はどうだった?)

(あ、少佐。凄いです。今、戻ります。)


リサはすぐに戻ってきた。

(少佐、皆さんの情報パネルに見て来た地図を送りますね。)

情報パネルに現在地から北部へ向けて道が描かれる。

いくつか枝分かれしているが、やはり北の丘陵地帯に伸びているな。

(この山側に伸びている道は、ここと同じような穴に入っています。)

(他にも坑道があったか。)

(鉱脈探知結果はこの周囲の複数個所を示していました。丘陵地帯を除いたんで南側のここが候補地になったんです。)

(それで、良かったですよぉ。マルビン兵長。)

(なにかあったのか?)

(私が探知した結果、北側の山と丘陵地帯はゴブリンだらけです。数千は居ますよ。)


◇


クリス達と合流した俺たちは西側に移動し、今朝の出発地に戻った。

1400、昼食を取りながら、今後の方針確認だ。

「ここの鉱脈の結果は良好だし、採石場が2か所、近場に取れる。ここが1番の有力地なんですよ。カン少佐。」

「この湖の南側の土地が良ければ、そこに村を作れる。鉱石も湖を舟で運搬できる。俺たちはそう思っていたんだよ。ファルス。」

「そうか。」

どうやら甲板部員達の中では答えが出ていたようだ。

「では、湖の南の土地を調べるのが第一だな。それで決まるだろう、カン少佐。」

「そうですね。大佐。行きますか。」

「うむ。」


「少佐、よろしいですか?」

「いいぞ、ホーク。」

「はい。南側の調査はチーム1の他に2チームあれば十分でしょう。

残りの3チームで先程のゴブリンの山道を潰したいと思います。」

「山道を潰す?」

「はい、奴らは山の沢や斜面を利用して移動し、鉱石を探索していると思われます。

今の道を残して置けば、いずれ戻ってきます。」

「山道を潰す、だけだな。」

「はい。」

「誰を連れて行く。」

「クリス大尉とパメラ中尉のチームを。」

「よし、6時間後にここに戻る様に。」

「了解。」

「よし、行くぞぉ!」

「クリス大尉、戦闘は無しですよぉ。」


◇


湖の南側の土地は合格だった。

水はけも良く、地下水も豊富だ。

木々はまばらに生え、低木と草原が広がっている。

山から吹き降ろす風がやや強い。

周辺100kmも問題は無い。

大型動物は少なく、小動物もいる。

村を作り畑を作り生活していくには、良い所だ。


俺たちは湖の北側に戻り、ホークたちの帰りを待った。


予定通りの時間にホークから連絡が入った。作業が終了し、これから帰ってくるそうだ。

ただし、ここに帰って来るまでに2時間は掛かる。

まったく。

俺たちは晩飯を作って帰りを待った。

日が落ちるのが2140。

俺たちの明かりを目指してホークたちが帰って来たのは2210だった。


◇


ホークたちは丘陵地帯と接する山脈の際まで行ったそうだ。

山道に沿って盛り上げたり、穴を掘ったり、鉱脈の入り口を見つけては土砂崩れを起こしたり。

中に何匹かいたみたいだが、直接戦闘はしていないそうだ。

それを延々とやっていた。

最後に山道の入り口になる所に深さ10m幅10m横300mの溝を掘った。


直線距離で230km。総延長は400km以上あるぞ。

山と沢はいくつあったんだ。

途中にもゴブリンの集落の3つ4つあったんじゃないか?


くっ、俺も行きたかった。


◇


次の日から東の大河に沿って南下し、西の大河との合流地点の調査。

さらに南下し、河口周辺部および沿岸部1100kmの調査を行った。

やはり現地人の集落は見つからない。

北部のゴブリンの集落が現地人の南下を妨げているのだろう。

南西の地に西の山脈の飛び地の様な山岳地帯を見つけた。

ここの山は岩山で、村を作るときの土台や道路に利用できそうだ。

最後の2日間は西の山脈沿いに北上しつつ鉱脈の確認を行った。

こちらも鉄鉱石の純度は高く、質、量ともに良いそうだ。

西の山脈には飛竜の群れがいた。

8頭ほどの小さな群れは俺たちの夕食になった。


最初の着陸地点に戻ってきた俺たちは、リサの遠見の窓でカッシーニ81に戻った。


◇


北緯28度東経116度。

東の山脈の麓、巨大湖の南にカッシーニ81を降ろした。

カッシーニ81は地上にあっては地上高100m地下10m全長820m。小さな山だ。

故に着陸地にも気を使った。

マクレガー大佐の助言に従い、船体を南北にし日影を作らないように。

山からの風を遮らないように距離をとる。

そして湖からはあまり離れず、かと言って離れすぎても不便だ。

理想を考えると面倒なので、最後はリサに任せた。


後は甲板部員達の出番である。

村の基本図面は出来ている。

居住エリアは500m四方とし、順次設備を増やして行く。

耕作地は10km四方。

まずはこのエリアの整地を行い、道路、水路の区画整備を行う。


鉱石については、レギウス山脈の250km地点を第一採掘場、東端を第二採掘場とした。

第一採掘場の整備を進め、その稼働開始後に第二採掘場の整備に掛かる。

さらに平野部南西の石山の採石場の整備と稼働。

脱出艇の採石運搬艇への改装作業。

甲板部員達と工作機はフル稼働だ。


山脈の奥に城がある。

だが、この地域はブラックドラゴンの飛行区域にはなっていないようだ。

なので、城の調査は後回しとなった。


◇


村の名はレギウス村とした。

俺たちがレギウス星人であることを後々にも伝えたいからな。

さらに東の山脈をレギウス山脈、大レギウス湖、レギウス平原とした。

単純で分かり易くて良いだろう。


レギウス村。

村長 マクレガー大佐。 

村長代理 エディ=マーカス中佐。

司令部は外政部と改称し、現地の人々との窓口役となった。

甲板部はそのままだ。

人員も、役職も、今までと変わらない。


レギウス村の開村日は296日。

この日はレギウス歴1062年1日にあたる。

俺たちは1つ歳を取った。

はずなんだが、現地のカレンダーと時計で過ごすならまだ先だ、という意見が強かった。

俺たちの誕生日は、292日先に伸ばされた。


◇


甲板部員達はフル稼働だが、俺たち司令部、改め外政部は暇だ。

時間が出来た俺たちは、エディ=マーカス中佐、元副艦長、現レギウス村村長代理、を留守番に残し、オの国へ向かった。


■■■


白い部屋。

床も壁も天井も白く、部屋の中に置かれたテーブルと椅子、天蓋付きの豪奢なベッドも白い。

外のテラスから吹き込む緩やかな風が部屋の中に届き、青空からは暖かな日差しが差し込む。


バサァ

そのテラスの脇に巨大な身体を寄せて、オレンジドラゴンが現れる。

その首を伝い、テラスに一人の女性が降り立つ。

「ありがとう。」

彼女はオレンジドラゴンの首をポンポンと叩き、その瞳に笑顔を向ける。


テラスを進む彼女の身体を光が包む。

彼女の茶色の服装と茶髪茶瞳の姿は、白髪金瞳の痩身の裸体となって白い部屋へと入ってきた。


彼女の金色の瞳が、白いテーブル上で点滅する青い光を捉える。

椅子に腰掛け、テーブル上のポッドから熱い紅茶をカップに注ぎ、一口。

ふぅ。


改めて、彼女の視線が青い光に向けられる。

彼女がその指を青い光に翳すと、テーブル上の空間に映像と文字が表示された。


彼女はその映像を見、しばし動きを止めた。

「レギウス軍の宇宙船が、消えた?」


う~ん。

しばし黙考する。

「ナノマシンが分解した?いえ、それにはもっと時間が掛かるはず。

だとすると、どこかに飛んで行ったのね。」


さらに黙考する。

「まぁ、私の邪魔をしなければ、いいか。」


彼女は紅茶を飲み、ベッドに潜りこんだ。



次回49話「オの国再び」

引越しのご挨拶です。

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