↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
第四惑星  作者: ブルーベリージャム
第三章 レギウス村
50/142

49話 オの国再び

オの国を離れてから53日。

遠く離れた国境でおきた鉱山崩落事件の調査がどの程度進展しているのか。

前回の6人にマクレガー大佐を加えた俺たちは、レイチェルの作った遠見の窓で王都オの都の西の城門前に到着した。

レイチェルも遠見の窓が使える様になった。

さらにリサと改良を加え、自分たちが行ったことのある場所なら、その記憶を使って行けるそうだ。

記憶が定かでなくても首元カメラの映像があるからな。

練習を兼ねてカッツェ族の集落に3回ほど行ったらしい。

そうか。

クリスを見ると笑顔だったので、除け者は俺とホークだったらしい。

あっ、ホークも一度行ったのか。

そうか、オルトス君は元気だったか。


◇


西の城門の衛兵に”月の人ファルス=カンが来た”という知らせを第11分隊バレン隊長に伝える様に依頼した。

衛兵は快諾して、使いを出してくれた。

「ファルス=カン殿、月の人達のご活躍は我々も伝え聞いております。ようこそいらっしゃいました。

バレン連隊長補佐には使いをやりましたので、こちらの衛兵詰所でお待ちください。」

「ああ、ありがとう。バレン隊長は連隊長補佐になられたのですね。」

「はい。第一連隊連隊長補佐殿であります。」


しばらく待つと城の衛兵2人が10人乗りの幌馬車で迎えに来てくれた。

アビー姫が城からの脱出行に使ったのと同タイプだ。

なので、パワードスーツの俺達7人が乗り込むと片側5人掛けの長椅子は4人で一杯。

3人の方も衛兵1人が狭い思いをして座れる。

衛兵の一人は御者台に座ることになった。


城の入り口ではバレン第一連隊連隊長補佐が迎えてくれた。

再会の挨拶とマクレガー大佐を紹介する。

「バレン連隊長補佐。我々の上司であり、我々の村の村長のマクレガーです。」

「おお、そうですか。ようこそおいで下さいました。マクレガー村長。」

「いや、まだ何もない村です。今回はご挨拶だけです。」

「では、国王陛下に?」

「ええ、そうです。ですが、国王陛下に謁見する前にエの国との問題がどの様な状況になっているのかお聞きしたいのですが。」

「左様で。では連隊本部へお越しください。皆様にご説明いたします。さっ、こちらへ。」


連隊本部の会議室に通された。

部屋の正面の壁に机と椅子があり、後は椅子が複数ある。

「すいません。手狭ですが、どうかお掛けください。」

「構いません。」

俺たちは円状に椅子を並べて座った。

「では、私から皆様がお発ちになった後の出来事を述べてゆきます。ただ、私も立場上全ては把握しておりません。」

「はい、お願いします。」

「はい、まず、第一王妃であられたサスキアス様は北部の村の一つに隠棲する、との発表がございました。

これは、第一王子イエルテ様の病死によるもの、とされました。

次に捕縛された旧第一連隊は連隊長と連隊長補佐が死刑、他の者は東の鉱山送りとなりました。」

ふぅ、と一息入れた。


「連隊は再編され、私は第一連隊連隊長補佐になりました。身に余る光栄です。これも皆様のお力添えあっての事、本当に感謝いたします。

我々第三連隊は第一連隊となりましたが、警護対象は変わらず第三王妃リンジー様、王子フニオル様、第二王女アビー様でございます。

皆様がお発ちになった数日後にアビー姫様からエの国の使節団のお話を聞きたい、との申し入れが国王陛下へございました。

アビー姫様としてはご自身が狙われた理由を直接お聞きしたいとのお話でした。

ですが、国王陛下とリンジー王妃がこれに反対なされました。

さらに国王陛下からエの国の使節団は国に戻った、とのご発言がございました。

アビー姫様は悲しまれましたが、この件はそれで終いとなっております。」

「そうですか、ではエの国のアラン子爵が言っていた鉱山崩落事件の真偽の調査はなされていないのですね。」

「はい、私の知る限りでは。」

「今回の件でエの国と戦争、という可能性はありますか?」

「いえ、それはないかと。国王陛下は大層ご立腹でしたが、イエルテ様を病死と発表されましたので。」


そうか、戦争を仕掛けるならエの国の使節団の者に暗殺された、とか言いそうだな。

「アビー姫にお会いできますでしょうか?」

クリスが問う。

「ええ、先ほど使いを出しましたので、皆様がいらっしゃってる事はもう伝わっておるはずです。

アビー姫様も先の事件の後はふさぎがちでお元気がございませんから、ぜひお会いしていただきたいです。」

「ええ、わたしもアビー姫にお会いしたいです。」


「バレン連隊長補佐。私たちはエの国のアラン子爵の話が気になっております。彼はエの国へ戻ったのですか?」

「はい、使節団の館の警備をしていた近衛団の者は、今は王城内におりますので。」

「我々がアラン子爵に会うには、やはり、エの国の王都でしょうか?」

「うう~む。」

バレン連隊長補佐は壁に視線を向ける。

そこには大きなオの国の地図が掛けられている。

バレン連隊長補佐は机の上にあった指示棒を取ると、地図を指し示しながら説明してくれた。

「ここが王都オの都です。北の街道を進みますと北の海岸に行き当たり、道は東へ続き大河ワナビーに着きます。ここまで馬車で10日掛かります。

我が国は広く、東西の行き来は大河ワナビーの船を利用します。使節団もです。船に乗って東の山脈へ向かいます。おそらく30日は掛かるでしょう。

この東の地より北へ馬車で10日程行くとチェニー河という北の海へ続く川があります。

この川の発する地は山脈の切れ目でして、我が国と隣国エの国を繋ぐ道があります。

おそらく使節団は今頃はこの辺りまでお進みになっている頃かと。まぁ順調にいけば、ですが。」

「そうですか。話にあった事故の起きた鉱山の場所はご存じですか?」

「すいません。正確な場所は存じておりません。が、我が国の鉱山は東の地、大河ワナビーの南側に複数ある、と聞いております。」

「分かりました。ありがとうございます。」

「いいえ、お役に立てれば何よりです。他にご質問はございますか?」

俺はホークたちを見るが、質問はないな。

「いいえ、ありません。」

「そうですか。では、私は国王陛下への謁見の件を伝えて参りますので、こちらでお待ちください。」

「はい。お願いいたします。」

バレン連隊長補佐は部屋を出て行った。


「ファルス、使節団を追いかけるのは遠いぞ。」

「そうだな。5500kmぐらいあるな。4日あれば着くか。

しかし、村づくりの為にオの国の村の見学もしたいな。村の作りや畑や、馬や牛の世話をしている所もあるだろう。」

「うむ。畑づくり以外の所も重要だろうからな。カン少佐。」

「そうですね。それに貿易を考えると我々も貨幣経済を取り入れねばなりません。

フォース族のオイゲン神の館か第三大陸のキケロ神の館が必要になります。神官の紹介も受けないといけません。」

「そうだ、レイチェルさんが大佐と少佐と一緒に飛んで、ここと遠見の窓を開けてくれたら、私たちはここで過ごせますよ。」

「ええぇ、それならリサでもいいわよねぇ。」

「お前らはここで何をするんだ?」

「城下町の調査?」

「服とか道具とかの買い付け?」

「武器と防具だな。前回は見れなかったからな。」


やれやれだ。

「よし、国王陛下との謁見の後は、ホークとパメラは神官に神の館の建設について聞いてくれ。神官への紹介については謁見の時に俺からお願いする。

クリスとリサはアビー姫に会ってくれ。その後はホークたちに合流だ。

レイチェルは俺と大佐に付いてくれ。2日か3日程、この国の村々を見て廻りたい。国王陛下の許可次第だがな。

その後は一度レギウス村へ戻り、連絡艇で出直そう。」

「了解。」


◇


国王陛下とは1時間後に会うことができた。

今回は執務室での謁見だ。

挨拶を交わし、俺たちが隣の大陸に村を作る事、村づくりに当ってオの国の協力を仰ぎたい事を申し入れた。

「我々の協力?」

「はい、我々は月の人ではございますが、この地に住みます。ですので、我々の村にもオイゲン神の館が必要かと。

さらにオの国の村を見させていただき、この地に生きる人々の教えを受けたいと考えます。

我が村の準備が整えば、いずれは移民の受け入れも考えております。」

「うむ。村の見学については問題ないだろう。委細はエルナンドに任せる。移民については、即答できん。よいか。」

「ありがとうございます。陛下。」

「うむ。アビーにも会っていってくれ。」

「はい。陛下。」

「うむ。では、下がれ。」


部屋を出た所で次の部屋に案内された。

1時間程待たされて、エルナンドという執事が来た。

俺たちに金貨の褒賞を渡しに来た男だ。

「ファルス=カン殿、こちらが国王陛下より賜った神官への紹介状でございます。

城下町の神の館へ行き、神官長オスカリウスにお渡しください。」

俺は紹介状を受け取った。

「神の館へは私ではなく、こちらのホークとパメラがお話しに伺いますますが、よろしいですか?」

「問題ありません。」

俺は紹介状をホークに渡す。


「次に皆様にこちらの装備と身分証明書をお渡しいたします。」

マントを手渡された。フード付きの大きなものだ。薄手の物と厚手の物の2枚ある。

そして身分証明書。

鉄のチェーンに銅版が付いている。

銅版には俺の名前、Dの文字、オの国冒険者ギルドと刻印されている。

「そちらは皆様が我が国を目立たずに歩き廻れる様に、との国王陛下のご配慮の品でございます。

昼間は薄手のマントをお付けください。

身分証明書は冒険者ギルド発行の物です。我が国はもちろん、隣国でも通用する物です。」

「申し訳ないが冒険者ギルドとは?」

「私も詳しくは。城下町に冒険者ギルドがございますので、そちらでお聞きいただければ。少々お待ちを。」

エルナンドは部屋にあった机に座ると何やら書き始めた。

「お待たせしました。こちらを冒険者ギルドの係の者にお渡しいただきますと、説明を受けられます。」

「ありがとうございます。」

「いえいえ。それでは、私よりは以上でございます。」


エルナンドが扉のそばに居た男にうなずくと扉が開けられた。

そこに2人の女中が待っていた。

「クリス様、皆様、アビー姫様がお会いになられます。こちらへどうぞ。」

俺たちはエルナンドの部屋を出て女中に付いて行く。

この方向は中庭だ。

(カン少佐。映像で見てはいたが、王宮は凄いな。)

(村でもやりますか?)

「なっ!」

(大佐、声出てますよぉ。)

(ああっ、すまん、レイチェル君。)


中庭に通じる部屋に通されると部屋の中に白い布のテーブルが用意されていた。

「クリス様、こちらに。」

「皆様はこちらにお掛けくださいませ。」

クリスは中庭へと通される。

俺たちはテーブルへ案内された。

そこには両手を広げて笑顔を見せる男性、フニオル王子が居た。

「皆様ようこそ。お座りください。」

「フニオル王子。」

「ファルス=カン。」

「紹介します。私の上司で、我が村の村長、マクレガーです。」

「マクレガーです。お初にお目に掛かる。」

「ようこそ、マクレガー村長。」


席に付いた俺たちにカップが配られ、お茶が淹れられる。

フニオル王子はカップに口を付けてから俺たちを見渡した。

「すまないね。アビーがクリス様とお話ししたいと、わがままを言ってね。」

「そうでしたか。」

「それで、ファルス=カン。今日は村長の紹介と我が国の見物だけかい?」

「ええ、表向きは。」

「では、裏があると。」

「はい。」

「それが、今回の本当の目的だね。エの国に行くのかい?」

「はい。まずは使節団の方々にお会いしたかったのですが。」

「ああ、残念だったね。彼らは父王によって早々に追い出されたからね。」

「そのようですね。」

「彼らをどうするか、実は父王も悩んでいたんだ。」

「そうでしたか。」

「ああ。」


王子と俺は顔を見合わせた。

「ファルス=カン。エの国へ行き、何をする?」

「汚れた畑を綺麗にしようと思っています。」

「できるのか?」

「その為に行きます。」

「なぜだ?」

「戦争の火種が一つ消えます。」

「そうだな。」

「そして、我々はエの国から感謝されます。」

「恩を売れるな。」

「はい。」

「そして我々も感謝する。」

「はい。」

「そうか。恩を売って何を買う?」

「我々はこの地に村を作り生きていきます。その為に我々はオの国の協力を欲しています。」

「つまり、見学だけでは終わらない、と。」

俺は答えなかった。

「ファルス=カン。長い付き合いになりそうだな。」

「はい。よろしくお願いします。」

「うむ。マクレガー村長、村の発展を祈っております。

では、私はこれで失礼する。ゆっくりしていってくれ。」


次回50話「冒険者ギルド」

ファルスたちは、貰った身分証Dランク冒険者について確認します。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。