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第四惑星  作者: ブルーベリージャム
第二章 探索
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43話 楽しき我が家

夜明け前に帰艦した俺たちはボディスーツに着替え、背嚢の中身を整理し、食堂に集まった。

食事をしながら艦での今後の過ごし方を確認していると、甲板部員達が集まってきた。

旅の中での報告やこちらであった事、魔法の上達具合や剣、弓、槍について雑多な会話が飛び交う。

甲板長にも挨拶をし、1000からの報告会を決めた。

その後、艦長と副艦長も現れた。

艦長は、メティスからの報告で医療ポッドを出たのは聞いていたが、思っていたより元気だった。血色も良い。

「カン少佐。ご苦労だったな。無事でなによりだ。」

「はい、艦長。えっ?少佐?」

「そうだ。そして、君がこの艦の艦長代理だ。頑張れよ。」

艦長はそう言って朝食トレイを持って隅のテーブルへ向かった。

「副艦長、一体?」

「詳細は朝食後に指令室で話す。待っていてくれ。」

艦長と副艦長はパワードスーツを着ている。土汚れが目立つ。

俺は甲板長に訊いた。

「甲板長、何かご存じですか?」

「いや、ファルス。俺も判らんが、あの二人は今、畑作りで昼間はずっと外にいるぞ。」

「畑。」

「ああ、(クワ)とか(スキ)とかの製造を頼まれてな。」

「そうですか。」

「そうだ、鉱山を見つける作業だがな、地上観測衛星からの探索が順調に進んでいる。

北半球で3か所ほど良い所が見つかっているんだ。

報告会の時に詳細を伝える。」

「はい、お願いします。」



俺たちが中央指令室に入ると情報パネルにメッセージが入った。

カッシーニ81乗員宛ての人事通達だ。


―次の者、その勲功を認め、昇級とす―

・ファルス=カン大尉、少佐に任じる。

・ホーク中尉、大尉に任じる。

・リサ=メンフィス少尉、中尉に任じる。


―次の者、職務遂行困難と認め、その任を解く―

・マクレガー大佐、輸送艦カッシーニ81艦長の職を解く。

 尚、艦長代理はエディ=マーカス中佐が務めるものとす。

 また、輸送艦カッシーニ81副艦長はファルス=カン少佐が務めるものとす。


―次の者、職務遂行困難と認め、その任を解く―

・エディ=マーカス中佐、輸送艦カッシーニ81艦長代理の職を解く。

 尚、艦長代理はファルス=カン少佐が務めるものとす。

 また、輸送艦カッシーニ81副艦長はクリスティン=サワー大尉が務めるものとす。


以上



エディ副艦長からの説明によると、マクレガー大佐は医療ポッドでの精神治療で "天使に導かれた"、そうだ。

その天使セリーヌ様曰く「人は皆、大地に生き、大地で死ぬのです。そう、大地と共に生きるのです。」と。

医療ポッドから出た艦長は副艦長に大地の素晴らしさと畑作の重要性を説き、「私は大地で生きることを選んだ」と力説した。

そして、自らの職責を解いて畑作りに励んでいるそうだ。

で、エディ副艦長もそれに(ナラ)った。

説明を終えるとエディ副艦長も畑に出て行ってしまった。


「少佐ねぇ。」

「不時着成功のご褒美ですね。少佐。」

「艦長代理を押し付ける為かもな。」

「まぁ、うちらは月面基地に行ったからな。当然だろう、ファルス。」

「そうよぉ、3人とも良かったじゃない。」

「これからはホーク大尉、ですね。」

「そうですね。馴れないですが。」



1000から第一会議室でホーキンス甲板長とアレクとバベルの副官2人に対して報告会を開いた。

俺たちの旅程と成果報告、そしてカメラ映像の一部解禁だ。

映像は現地人の建築物や町の様子、現地人との会話、林や密林などの自然環境、オーク、ゴブリンとの戦闘、飛竜等の狩りの様子だ。

プライベートや隊内の会話は含まれていない。


「5番艦からのデータ転送は今も継続中です。終了予定は明日の0200になります。その後に資料解析に入ります。」

「うむ、そっちは長丁場だな。」

「はい、今後は第一司令部、第二司令部が交代でデータ解析を行っていきます。」

「よし、そちらからの説明は以上か?」

「そうですね。以上です。」

「よし、それでは移転候補の土地について協議したいんだが、いいな?」

「はい。」

「よし、アレク。」

「はい、副官のアレクサンデル=シャトフ大尉です。私から候補地選定の条件に付いてご説明いたします。」

「アレク、いつもの調子でいいぞ。」

「あっ、すいません。緊張しまして。」


甲板部副官で第一班班長を務めるアレクサンデル=シャトフは31歳、階級は大尉だ。

俺やホークとはなじみだが、なんで緊張してるんだ?

「えっ、では、まず条件の一つ目は鉄鉱石の鉱脈があることです。

次に拠点となる集落を作る土地と水源。

最後に現地人の集落、村や畑から離れている事です。

以上の条件で地上観測衛星により鉱脈を探知し、探知した周辺地域を高解像映像で分析した結果、次の3地点が現在の移転候補地となっております。」

会議室のスクリーンに惑星図が表示され、3つの地点がポイントされている。


「最初の候補地はこの第一大陸西側の山脈です。海と山脈に挟まれた幅800kmの平野部があり河川もいくつか存在します。

次の候補地は第三大陸南側、ここに2本の大きな山脈があり、その西側と山脈間に広大な平野部が広がっています。

2番目の候補地は西側の平野部です。南側と西側は海ですが、北側は丘陵地帯でして、こちらに現地人の村を確認しています。

3番目の候補地は山脈に挟まれた平野部の東側です。麓に巨大な湖があります。

この湖から流れ出る河は西へ流れ、そこで西の山脈からの河と合流して南に流れ、海へと続きます。

この南側の海には大小の島が複数あり、こちらにも鉱脈の反応があります。」


2番目と3番目の候補地の南の海。

その対岸は第四大陸北東、エの国周辺になる。

さらに海上の島々の一つはナノマシン発生機のある島だ。


「甲板部としての第一候補はこの3番目だ。」

甲板長が言う。

「但し、問題が一つある。」

「何ですか。」

「城だ。」

「城。」


スクリーンに3番目の候補地が拡大表示され、鉱脈の採掘候補地の東側に城の位置がマークされる。

ほぼ山脈の中央だ。

「メティスの分析では、ドラゴンの姿は大陸の北東位置で確認されている。

ここはドラゴンの領域ではない、と思われるのだが。」

「そうですか。」

城とドラゴンの関係は分かっていない。


「と、なると、次の段階は現地確認ですね。」

「そうだな。まだ南半球の探査結果も出ていないが、少し急がんとな。」

「急ぐ?」

「ああ、艦長の畑が出来てしまうと、動けんだろう。」

「そうか。」

畑に作物を植えてしまってからでは動くのに同意しない場合もあり得る。

「しかし、甲板長、この移転を進める前に、一度皆の意見を聞きたいのですが。」

「意見?」

「はい、我々は今後この惑星上で生きていかねばなりません。

今進めている移転計画は我々が独立勢力として、この地に根付こうとするものです。

その為には、全ての事を我々が作っていかなければいけません。」

「そうだな。」

「はい。ですが、私たちは今回の探索行で幾人かの現地人と知己を得ました。特に第四大陸は我々レギウス星人の純血種であることから、見た目も我々と変わりません。」

「うむ。」

「であれば、この艦を離れ現地人と共に生活を送りたい者がいるかもしれません。」

「そうか。それを心配したか。」

「はい。」

「それなら、こちらでも同様の意見があってな。既に全員の意志は確認済みだ。」

「そうでしたか。すみませんでした。では、移転に賛成なんですね。」

「ああ、全員一致で移転には賛成だ。

それに、訳のわからない現地の国家の下に付くのも御免だ。ただな、」

「ただ?」

「将来の事では、揉めているな。というか、嫁とりだ。」


甲板長がリサの方に目をやる。

アレクとバベルの副官2人は目を逸らしている。

「嫁?」

「えっ、それって。」

なるほど、だから緊張していたのか。

「いやいやいや、えっ、だって甲板部員にもサラ伍長やレベッカさんとかいるじゃないですか。」

「リサしょう、中尉には敵いません。」

「そうです。リサ=メンフィス中尉。」

アレクとバベルが力説する。

甲板長が頭を抱える。


「こっちは男が16人に女性が7人だ。中には今回のお前たちの様に旅に出ると言ってる者もいる。」

「そう、ですか。」

これは、まぁ、当人同士の問題だからなぁ。

「なんで、うちらは無視してリサなんだ。甲板長。」

「そうですね。」

「いえ、サワー大尉にはカン少佐が、クルーガー少尉にはホーク大尉がいらっしゃいますし。」

「バーンズ中尉には、その、うちのボスが。」

バベル中尉の視線が甲板長ホーキンス中佐を見る。

「ほほぉ~。」

「あー、いや。なんだ、」

「ふふふ、前々からいろいろとぉ、お話させていただいてましたから。ねぇ。」

「あー、そっかぁ、じゃあ、私だけなんだぁ。」

「いえ、リサ中尉には私、アレクサンデル=シャトフが付いております。」

「バベル=グランド中尉です。よろしくお願いします。」

「うーん、あっ、もしかして私が選べる立場?もしかして、新人のステフ君やダニエル君も?」

「えっ!?」


「甲板長、今日の報告会はこれでいいですか?」

「ああ、すまん。明日からはまた魔法に、剣術も教えて欲しいという奴がいてな。頼まれてくれるか。」

「了解。朝は0700からですね。」

「そうだ、よろしく頼む。」


「これは、シャーリーとロッテと相談して、フリーの子を確認しないと。少佐!私、抜けますね。」

「おう。」

「お待ちを、リサ中尉。」

「アレク。」

「うん?」

「手強いぞ。あいつは。」

「ああ、だからこそ、だよ。ファルス。カン少佐。」

「ファルスでいい。バベルもな。」

「はっ、頑張ります。」


にぎやかだ。

これが楽しい我が家に帰ってきた実感だろう。


■■■


パメラ=クルーガー少尉です。


カッシーニ81に戻って来ました。

長いようで、短いようで、初めての事だらけの楽しい旅も終わりです。


ホーク中尉、もとい大尉、とも、少し離れるのかなぁ。

そんな心配もしてましたけど、でも、周囲の目はそうでは無いようで。


そうか、私とホーク大尉の仲は皆に認められたのね。

ふふふ。


「パメラ。嬉しそうだな。」

「えっ、そんな事ないです。」

「ふーん。どうせホークの事でも考えていたんだろ。」

「ちがっ、わ、ないけど・・・。」

「ホークもその気だからな。いい事だ。」

「クリスは、カン大尉、少佐とはどうなの?」

「そ、それは、その、徐々に、だ。」

「ねぇ、クリス。カン少佐の何処が好きなの?」

「何処って。・・・、内緒だ!」


あっ、行ってしまった。

でも、前に聞いたんだよね。


士官学校では実際の戦闘艇の戦闘記録が教材として用いられる。

クリスは、敵の新型偽装装置発見に貢献した戦闘艇の動きを気に入った。

その戦闘艇のパイロットの名前が、ファルス=カン少尉。

カッシーニ81に赴任した日の夜、その憧れの人が居たんだって喜んでいた。

でも、その戦闘艇の動きを悪い見本とした教官を殴ったんだよね。

そのお陰で、カン少佐に会えたのだから、不思議な縁よね。



次回44話「移転先候補」

第3章スタートです。

ファルス達は何処に行くのでしょうか。


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