夜が来る前に 双子の現実逃避城(1)
4月28日 午後00:40 食堂
私は昼食をさっさと終えた後、学園で結構仲良くさせて頂いている
門地瑞貴さんと香月瑠璃嬢に愛想よく
手を振りながら次の目的地へと足を運んでいた。
ちょうど現実世界で私と交信できる二人の学校がお休みだったので
連絡を取り合いながら今回のミッションを進めていきたいと思います。(実況かよ)
「あー優梨、なっちゃん?今向かってるとこー」
「文明とは恐ろしいものね・・・」
「・・・・・はい?」
お前に何があった!?聞き間違いかな。
私を現実世界に連れ戻したいのか連れ戻したくないのかどっちなんだい!?(怒
「なんと!二人で交互に話さなくとも三つのケータイで
皆で話せるようになりました!イエーイ!」
「やったね!優梨、玲!」
優梨が叫んだ後、なっちゃんも合の手を入れる。
「あーハイハイ。もうすぐ着くよー」
どうせ作者の後付け設定だろ!!
と、考えながら歩くスピードを速めていた。
4月28日 午後12:43 場所不明
「ハイ。着いた」
門地さんと香月嬢に地図を描いて貰ってて良かった。
五角形の別館である。
中等部校舎と高等部校舎に挟まれた別館。
積まれたレンガが一つ一つ個性を生み、館全体にアイビーの
蔦が張り巡らされている。
「ここか・・・」
ここは聖宮学園図書館。勿論、視聴覚室もある。
今日は図書委員の「王生天」と「王生海」に会いに来た。
中等部三年の双子の兄弟。
「乗り込むよ!」
周りと同じようにアイビーを大胆に彫った扉を重々しく開いた。
「きゃあ~!!天様!今何を読んでいらっしゃるの!?」
「海様!私、隣で一緒に見てもよろしくて!?」
「あ~~~ん!あたくしもぉ~!!」
知らず知らずの内に扉を閉め、ついでに回し蹴りを食らわしていた。
良し。誰にも見られてない。
「・・・聞こえたか?」
『・・・・・うん』
二人揃って声がした。
さっきは後ろにぶっ飛ばされそうな程、凄まじかった。
まさに「轟音」って感じ。
ターゲットの姿も隠れていて全く見えなかった。
双子はとても親しみやすくフレンドリーなキャラで有名だ。
いや、だからと言ってね?
図書館でうるさいってどうなの。
しかし、このまま乗り込めるかって言ったら別だ。
仕方なく今後の意向について三人で語り合おうと外れた普段誰もいない
筈の庭園の一角へ移動した。
人目を避けた為に昼間でもあまり日の届かない、薄暗い森の様な場所に入り込んでしまった。
「あー、玲?もしもし?」
優梨から心配する様な声がした。
「双子だけで図書館にいる状況、なくもないんだけど・・・」
「っえ?早く言ってよ」
大きく溜息を吐いた私に、なっちゃんがご丁寧に説明してくれた。
「いやぁ~。放課後にまたここに来て二人っきりで読書しているんだけどね?
読書中は鍵掛けているらしいから誰も入れないの・・・」
「・・・・・」
っは!何のこれしき。
「ふっふっふ。鍵掛けてんのって読書中だけでしょ?
昼休みから双子が来る前にかけてがゴールデンタァアアアアイム!!」
口端を不敵に歪めて叫んだ5秒後に優梨から驚いたような声がした。
「確かに・・・。でも、双子より先に来られる確証がないじゃない!?」
「んー。分かんないけど中等部は高等部より終わるの早いだろうしねぇ。
6時限目サボる」
外れたような明るい声で答えた。
「正気!?アンタ、勉強ギリギリだって言ってたじゃないの!」
今度は優梨が叫び出す。
「大丈夫。LHRで5月の遠足の決め事らしいから」
『・・・・・ガンバ!』
二人の了承も得て、作戦実行前の5時限目はとりあえず受けて来ようと
急ぎ足で教室へと向かった。




