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第99話 気になる理由

夏休みの夕方。


朝倉凜空は、自分の部屋のベッドに寝転がっていた。


「暇だなー……。」


スマホを眺めながら、何となく今日のことを思い出す。


勉強会。


最初はただのテスト対策のつもりだった。


でも。


思っていたより楽しかった。


桃華がすぐに休憩したがったり。


悠真が淡々と教えたり。


こむぎが分からないところを丁寧に説明したり。


「……。」


凜空は少し笑う。


「なんか、あいつらしいな。」


特に思い浮かぶのは、暁月こむぎのことだった。


分からない問題に真剣に悩む顔。


できた時に嬉しそうに笑う顔。


別に、珍しいことじゃない。


友達なら普通に見る表情だ。


……なのに。


「なんで覚えてるんだろ。」


自分でも少し不思議だった。


凜空は昔から、人の視線には慣れている。


誰かに見られることも。


話しかけられることも。


それが当たり前だった。


でも、こむぎは少し違う。


本人はそんなことを気にしていない。


周りからどう見られているかなんて、考えていないように見える。


「変なやつ。」


そう言いながら、声には少し笑いが混じっていた。


ふと、悠真のことを思い出す。


あいつも最近、こむぎを見ることが増えた気がする。


「……まあ、悠真だしな。」


考えていることは相変わらず分からない。


でも。


「俺も似たようなものなのかな。」


そうつぶやいて、自分で少し驚く。


何が似ているのか。


考えても、よく分からなかった。


「……。」


少しだけ考える。


最近、こむぎと話す時間が楽しい。


一緒にいると自然に笑える。


それだけ。


きっと、それだけだ。


「友達だからな。」


そう言って、凜空は納得する。


まだ、この気持ちに名前をつけることはしなかった。


ただ。


少しだけ特別に感じる相手がいる。


そのことだけは、なんとなく分かっていた。


「ま、明日も会うし。」


凜空は笑って起き上がる。


夏休みはまだ続く。


そして、四人で過ごす時間も。


その先に何が待っているのか。


今の凜空は、まだ知らなかった。

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