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第97話 夏休みの勉強会

「……終わったー!」


桃華が机に突っ伏した。


「最後まで頑張ったね。」


こむぎが笑う。


「もう頭がいっぱい……。」


「でも結構進んだじゃん。」


凜空がノートを見る。


最初は全然進まなかった桃華も、今日はいつもより多く問題を解くことができた。


「悠真が教えてくれたおかげ!」


桃華が言う。


「あと、こむぎも!」


「私は少し手伝っただけだよ。」


こむぎは笑った。


「それでも助かった!」


凜空も頷く。


「俺も分からないところあったし、助かったわ。」


「珍しい。」


悠真が言う。


「何が?」


「凜空が素直に感謝してる。」


「俺だって感謝くらいするって!」


そのやり取りに、こむぎと桃華が笑う。


気付けば、最初に集まった時よりも時間が経っていた。


「結構やったね。」


こむぎが時計を見る。


「本当だ。」


凜空も驚く。


「勉強ってもっと長く感じるものだと思ってた。」


「四人でやったからじゃない?」


こむぎが言う。


「それか桃華のお菓子のおかげ。」


「やっぱり?」


桃華が嬉しそうに笑う。


「そこは否定してよ。」


凜空がツッコむ。


片付けを始め、教科書やノートをバッグにしまっていく。


「今日はありがとう。」


こむぎが悠真を見る。


「部屋貸してくれて。」


「別に。」


悠真はいつも通り短く答える。


「でも、楽しかった。」


こむぎが笑う。


その言葉に、悠真は少しだけ目をそらした。


「……そう。」


短い返事。


でも、少しだけ柔らかい声だった。


「じゃあ帰ろっか!」


桃華が立ち上がる。


「次はテスト前かな?」


凜空が言う。


「またやろうよ!」


「賛成!」


こむぎが答える。


「俺も。」


悠真も頷いた。


四人は部屋を出る。


夏休みのある一日。


ただ勉強するだけの時間だったはずなのに。


それは、四人にとって大切な思い出の一つになっていた。


そして――


夏休みは、まだ始まったばかりだった。

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