第91話 プールの終わりに決めたこと
「楽しかったー!」
プールを出た桃華は、大きく伸びをした。
「一日中遊んだ気がする!」
「実際、かなり遊んだよね」
こむぎが笑う。
飛び込みプールで遊んだり、競争をしたり、四人でくだらない話をしたり。
気付けば、空は少しずつ夕方の色になっていた。
「でもまだ帰りたくないな〜」
桃華が名残惜しそうにつぶやく。
「また来ればいいじゃん」
凜空が笑う。
「今度はもっと大人数でも楽しそう!」
「それもいいね」
こむぎもうなずいた。
四人は駅へ向かって歩きながら、今日あったことを話していた。
「そういえばさ」
悠真がふと思い出したように口を開く。
「次のテストっていつだっけ?」
「テスト?」
桃華の表情が一瞬固まる。
「……その話、今する?」
「大事なことだから」
悠真はいつも通り淡々としている。
「確か……」
こむぎは少し考える。
「文化祭終わったくらいじゃなかったっけ?」
「あー……」
桃華が遠い目をする。
「夏休みって遊ぶだけじゃダメなのか……」
「桃華、勉強も必要だよ」
こむぎが苦笑する。
「分かってるけどさ〜!」
桃華が両手を上げる。
その様子を見て、凜空が笑った。
「じゃあさ」
「みんなで勉強会しようよ!」
「勉強会?」
こむぎが首をかしげる。
「うん。せっかく四人いるんだし、一緒にやった方が楽しくない?」
「確かに……」
こむぎは少し考えてうなずく。
「一人でやるよりは頑張れそう」
「私は……」
桃華は少し悩む。
「お菓子ありなら!」
「そこ?」
凜空が笑う。
「桃華らしいけど」
「大事でしょ!」
「まあ、休憩も必要だし」
悠真が静かに言う。
「じゃあ決まり?」
凜空が三人を見る。
「私は賛成!」
こむぎが笑う。
「俺も」
悠真もうなずく。
「……じゃあ私もやる!」
桃華は少し気合いを入れるように拳を握った。
「目標は……赤点回避!」
「目標低くない?」
凜空がツッコむ。
「じゃあ点数アップ!」
「それならいいね」
四人の笑い声が夕方の道に響く。
夏休みの楽しい一日は終わった。
でも、四人で過ごす時間はまだまだ続いていく。
次に待っているのは――
少しだけ真面目な、四人の勉強会だった。




