第9話 ペア決め
「それじゃあ整列ー!」
体育の先生が笛を鳴らした。
生徒たちは素早く並ぶ。
「前回話した通り、今日からペアで種目をやる。」
先生は手に持っていた名簿を見ながら言った。
「ペアはこっちで決める。」
「え〜!」
あちこちから残念そうな声が上がる。
「じゃあ呼んでいくぞ。」
先生は次々と名前を読み上げていく。
「……朝比奈と佐藤。」
「はーい!」
桃華が元気よく返事をした。
「暁月と……朝倉。」
一瞬、グラウンドがざわつく。
「えっ!?」
桃華は思わず声を上げた。
「え!? 凜空様とペア!?」
「え?」
こむぎは首をかしげる。
「そんなにすごい人なの?」
「えぇ!? こむぎ知らないの!?」
「うん。」
桃華は少し興奮した様子で話し始めた。
「朝倉凜空くんはね、この学校で一番人気って言ってもいいくらい有名な人なんだよ!」
「有名?」
「イケメンで運動神経抜群! 勉強もそこそこできるし、誰にでも優しいの!」
「へぇ……。」
「女子なんて毎日『凜空様〜♡』って大騒ぎだよ!」
まるでタイミングを合わせたかのように、近くから歓声が聞こえた。
「きゃーーーっ♡ 凜空様ー!」
「今日もかっこいい〜!」
「こっち向いてー!」
こむぎは思わず声のする方を見る。
そこには数人の女子に囲まれ、苦笑いしている男子がいた。
「はいはい、ありがとう。でも授業中だから先生に怒られるぞー。」
明るく笑いながら手を振るその姿に、女子たちはさらに盛り上がる。
「……本当に人気なんだ。」
こむぎが小さくつぶやく。
すると、その男子がこちらへ歩いてきた。
「もしかして、今日のペア?」
そう言って笑顔を向けた。
「俺、朝倉凜空! よろしく!」
「私は……暁月こむぎ。」
「よろしく、こむぎ!」
初対面とは思えないほど気さくな笑顔だった。
その様子を少し離れた場所から見ていた悠真は、何も言わず視線を逸らした。
「それじゃあ最初のメニューを始めるぞ!」
先生の声がグラウンドに響く。
こうして、こむぎと凜空のペア活動が始まった。




