第83話 プールへ!
駅を出ると、夏の強い日差しが一気に降り注いだ。
「暑いな」
凜空が空を見上げながら言う。
「今日、絶対焼けるやつだろこれ」
桃華は手で日差しをさえぎりながら笑った。
「でもさ、めっちゃプール日和じゃない?」
こむぎも空を見上げる。
「ほんとだ、すごい晴れてる」
悠真は少し目を細める。
「人多そうだな」
「それはそれで楽しいでしょ」
桃華がすぐに返す。
四人はプールへ向かって歩く。
入口にはすでに長い列ができていた。
「やっぱ人気だな」
凜空が前を見ながら言う。
「夏休み初日だしね」
こむぎは少しだけそわそわしていた。
「早く入りたい」
「気が早い」
凜空が笑う。
「うるさい」
桃華が軽く肩を小突いた。
更衣室で着替えを済ませ、外に出る。
目の前に広がる大きな屋外プール。
青い水面が太陽を反射してきらきら光っていた。
「すご……」
こむぎが小さくつぶやく。
桃華も目を輝かせる。
「めっちゃ広いじゃん!」
悠真は全体を見て言う。
「流れるプール、あそこだな」
凜空はもう歩き出していた。
「行くぞ」
「早いって!」
二人が後を追う。
流れるプールに足を入れた瞬間、冷たい水が体を包む。
「冷たっ」
こむぎが思わず声を出す。
「でも気持ちいい」
桃華はそのまま流れに身を任せる。
「最高じゃんこれ」
悠真は少し驚いたように言う。
「思ったより流れ速いな」
凜空は笑った。
「これずっと回れるやつだろ」
四人はゆっくり流されながら進んでいく。
しばらく遊んだあと、休憩でプールサイドに座る。
こむぎはタオルで髪を拭きながら、しっぽの水を気にしていた。
その様子を見て、桃華がふと聞く。
「ねえ」
「こむぎってさ」
「しっぽとか耳も乾かすの?」
こむぎは少し止まる。
「え?」
桃華は真顔で続ける。
「髪と一緒で濡れたままだと冷たそうじゃん」
凜空が笑う。
「そこ気にするんだ」
「当たり前でしょ」
桃華が言い返す。
悠真は少しだけこむぎを見る。
「……乾かした方がいいとは思う」
こむぎはしっぽを軽く見てから言う。
「ドライヤーでやったことはないかも」
桃華がすぐに乗る。
「じゃあ今度やろうよ」
「絶対面白いってそれ」
こむぎは少し笑う。
「ちょっと変な感じしそう」
凜空も笑う。
「想像したらおもしろいなそれ」
水辺の風が少しだけ涼しく吹く。
笑いながら、四人はまた立ち上がる。
「次どこ行く?」
凜空が言う。
桃華がすぐに答える。
「スライダー!」
「賛成」
こむぎも小さくうなずく。
「行きたい」
悠真は一言だけ。
「行くか」
四人は再びプールへ向かう。
夏休みの一日は、まだ始まったばかりだった。




