第76話 準優勝
試合終了から数分後。
選手たちは整列し、互いに礼をした。
「ありがとうございました!」
体育館に大きな声が響く。
天城高校の選手たちも深く一礼する。
悔しさは残る。
それでも、お互いを称え合う空気がそこにはあった。
表彰式が始まる。
「令和○年度 夏季地区大会、準優勝。
星乃宮高校。」
アナウンスが流れる。
会場から大きな拍手が送られた。
高橋先輩が代表して前へ進む。
準優勝の賞状とトロフィーを受け取り、仲間のもとへ戻る。
「キャプテン、おめでとうございます。」
遥斗先輩が笑顔で声をかける。
「みんなでもらった賞だよ。」
高橋先輩はそう言って、トロフィーをみんなの前に掲げた。
ベンチでは、こむぎと桃華が選手たちを迎えていた。
「お疲れさまでした!」
「皆さん、本当にかっこよかったです!」
こむぎの言葉に、凜空が照れくさそうに笑う。
「ありがとう。」
悠真も小さく微笑んだ。
「応援、ちゃんと聞こえてたよ。」
「えっ、本当ですか?」
「うん。力になった。」
その一言に、こむぎは嬉しそうに笑顔を見せた。
荷物をまとめ終えると、高橋先輩が全員を集めた。
「今日は負けた。」
静かな声だった。
「もちろん悔しい。」
全員がうつむく。
「でも、この準優勝は胸を張っていい結果だ。」
顔を上げる部員たち。
「ここまで来るのは簡単じゃなかった。」
「毎日の練習を積み重ねて、みんなで勝ち取った準優勝だ。」
誰も言葉を挟まない。
「だから、今日はうつむくよりも……」
高橋先輩は仲間たちを見渡し、穏やかに笑った。
「最後まで一緒に戦えたことを誇りに思おう。」
その言葉に、自然と笑顔が広がっていく。
帰り際。
体育館の出口で、こむぎはもう一度コートを振り返った。
今日まで、たくさんの試合があった。
勝って笑った日もあれば、苦しい試合もあった。
そのすべてが、この夏の思い出になる。
「……お疲れさまでした。」
小さくつぶやくと、桃華が隣で笑った。
「でも、まだ終わりじゃないよ。」
「え?」
「明日はみんなで3年生の引退会!」
こむぎの表情が少し明るくなる。
「そうでした!」
「ちゃんと感謝を伝えないとね。」
こむぎは力強くうなずいた。
「はい!」
3年生との大切な時間は、まだ残っている。




