↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
68/83

第68話 崩し方

第三クォーター開始前。

スコアは18対22。

4点ビハインド。

ベンチの空気は少し重い。

「このままだとじわじわ離されるな」

蒼が呟く。

凜空も唇を結んだままコートを見ている。

そのとき、高橋先輩がホワイトボードを軽く叩いた。

「作戦を変える」

全員が顔を上げる。

「今までは個人で崩そうとしてた」

「でも相手はそれを読んでる」

少し間を置いて続ける。

「これからは“動かして崩す”」

「動かす……?」

こむぎが小さくつぶやく。

桃華も首をかしげる。

彩花先輩が説明するように言った。

「ボールだけじゃなくて、人も一緒に動かすってこと」

「相手の守備をずらして、隙を作るんだよ」

「なるほど……」

こむぎは真剣にうなずいた。

第三クォーター開始。

悠真がボールを運ぶ。

いつもよりゆっくり。

焦らない。

「凜空」

パス。

すぐに戻す。

別の場所へ展開。

青嶺高校はすぐに反応する。

しかし、少しずつ動かされていく。

完璧だった守備に、わずかなズレが生まれ始めた。

「遥斗先輩」

ボールが入る。

遥斗先輩は一度止まる。

相手が寄る。

その瞬間。

「逆だ」

パスが反対側へ飛ぶ。

「蒼」

空いたスペース。

迷わずシュート。

シュッ!

リングが揺れる。

20対22。

「今の……!」

こむぎが思わず声を出す。

彩花先輩が静かにうなずいた。

「そう。ほんの少しだけズラせた」

青嶺高校はまだ崩れない。

すぐに修正してくる。

だが、確かに“遅れ”が出ている。

攻撃が続く。

悠真がボールを回す。

凜空、蒼、遥斗先輩。

そして湊先輩がスクリーンで道を作る。

「今だ」

凜空が抜ける。

ディフェンスが遅れる。

シュッ!

22対22。

同点。

「やった……!」

桃華が思わず立ち上がる。

こむぎも嬉しそうに手を握る。

だが青嶺高校もすぐに修正してくる。

また元の“崩れない形”へ戻してくる。

第三クォーター終了。

26対26。

同点。

ベンチに戻る選手たち。

息は上がっているが、誰も下を向いていない。

高橋先輩が静かに言う。

「見えたな」

全員がうなずく。

「あと一歩だ」

「崩せる」

こむぎはコートを見つめる。

(ここからが、本当の勝負なんだ)

空気が変わる。

準決勝は、まだ終わらない。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。