第63話 流れを変える先輩
「落ち着いていこう。」
高橋先輩の声を背に、選手たちが再びコートへ向かう。
第二クォーター開始。
2点ビハインド。
まだ十分に逆転できる点差だった。
試合が再開する。
悠真がボールを運ぶ。
「凜空!」
パスを受けた凜空はドリブルで仕掛ける。
しかし白鷺高校は今日も堅い。
二人がかりで守られ、思うように前へ進めない。
「戻せ!」
悠真の声。
凜空は無理をせず、後ろへパスを返した。
「ナイス判断!」
ベンチから佐々木先輩の声が飛ぶ。
ボールは遥斗先輩へ渡る。
遥斗先輩はすぐに攻めず、味方の動きをじっと見つめる。
そして、小さく微笑んだ。
「悠真。」
「はい!」
「もう一回。」
悠真が動き出す。
湊先輩が相手選手の前へ入り、味方が動きやすいように体を使ってスペースを作る。
その瞬間だった。
「今!」
遥斗先輩のパスが通る。
悠真は迷わずシュート。
シュッ!
ボールはリングを通り抜けた。
14対14。
「よし!」
ベンチから大きな拍手が起こる。
「今のプレー……。」
こむぎが思わずつぶやく。
「すごかったです。」
彩花先輩がうなずく。
「遥斗先輩はね、自分で点を取るだけじゃなくて、仲間を生かすのも上手なんだ。」
「だからみんなが動きやすくなるの。」
「そうなんですね!」
こむぎは感心したようにコートを見つめた。
その後も接戦が続く。
白鷺高校も負けてはいない。
16対16。
18対18。
点を取っては取り返される展開。
体育館には緊張感が漂う。
「ナイスディフェンス!」
湊先輩が相手のシュートコースへ飛び込み、ボールをはじく。
ルーズボールを蒼が拾う。
「悠真!」
悠真が受け取り、一気に前へ。
凜空が左を走る。
右には遥斗先輩。
相手ディフェンスが凜空へ寄った。
「遥斗先輩!」
パスが渡る。
遥斗先輩はフェイントを入れ、一歩前へ。
シュッ!
ネットが大きく揺れた。
20対18。
ついに逆転。
「ナイスシュート!」
桃華が立ち上がって拍手を送る。
こむぎも笑顔で手を叩いた。
「遥斗先輩、すごい……!」
その一本をきっかけに、チームの動きが変わる。
湊先輩がゴール下を守り、
悠真が冷静に試合を組み立て、
凜空と蒼が積極的に走る。
一年生たちも、先輩たちのプレーに引っ張られるように動き始めていた。
ピーーーッ!
前半終了。
スコアは26対22。
4点リード。
ベンチへ戻ると、こむぎと桃華が笑顔で迎える。
「お疲れさまです!」
「ありがとう。」
遥斗先輩はタオルを受け取り、小さく笑った。
「後半も、この調子でいこう。」
湊先輩もうなずく。
「ああ、勝負はここからだ。」
その頼もしい背中を見て、一年生たちも力強く返事をした。
「はい!」
二回戦は、いよいよ後半戦へ。




