第62話 崩れない壁
ピーーーッ!
試合開始のホイッスルが鳴る。
二回戦。
相手は白鷺高校。
両チームが礼を交わし、試合が始まった。
ジャンプボール。
湊がボールをはじく。
悠真が受け取り、ゆっくりと攻撃を組み立てる。
「落ち着いて!」
部長の声が飛ぶ。
悠真は凜空へパス。
凜空は得意のスピードで相手を抜こうとする。
しかし――
「っ!」
目の前にはすぐ二人目のディフェンス。
行き場を失い、外へパスを戻す。
「守りが速い……。」
蒼が小さくつぶやいた。
白鷺高校は、一人が抜かれてもすぐに仲間がカバーへ入る。
簡単にシュートを打たせてくれない。
さらに相手の攻撃では、確実にパスをつなぎ、着実に得点を重ねていく。
開始五分。
スコアは
6対10。
初めてリードを許した。
「タイムアウト!」
高橋部長がすぐに声をかける。
選手たちはベンチへ戻る。
「ドリンクどうぞ!」
こむぎと桃華が素早くボトルを渡した。
「ありがとう。」
凜空は悔しそうに息を整える。
「思ったより固いな……。」
部長はホワイトボードを見せながら言った。
「焦って一人で突破しようとするな。」
「相手は、それを待っている。」
全員がうなずく。
「ボールを動かせ。」
「相手を動かしてから攻める。」
「はい!」
試合再開。
悠真は慌てずにパスを回す。
凜空。
蒼。
遥斗。
また悠真。
何度もパスをつなぐ。
白鷺高校も必死についてくる。
その時だった。
「今!」
遥斗が一歩前へ出る。
ボールを受けると、迷わずシュート。
シュッ!
ネットが揺れた。
8対10。
「ナイス!」
ベンチから拍手が起こる。
続く守備では、湊が相手のシュートを防ぎ、こぼれたボールをしっかりつかむ。
「リバウンド!」
彩花が思わず声を上げる。
こむぎも嬉しそうに拍手を送った。
「湊先輩、すごい……!」
第一クォーター終了。
スコアは
12対14。
まだ2点差。
負けてはいるが、十分に逆転を狙える点差だった。
ベンチへ戻る選手たち。
「ナイス!」
翔哉が笑顔で迎える。
「焦る必要はない!」
高橋部長もうなずく。
「相手の守りは崩せる。」
「一本ずつ返していこう。」
全員が力強く返事をした。
二回戦は、まだ始まったばかりだった。




