第61話 2回戦目の相手
一回戦終了から一時間後。
体育館には、次の試合を待つチームの姿があった。
こむぎは彩花と一緒にベンチを整えている。
「ドリンク、全部あります!」
「ありがとう、こむぎ。」
彩花は優しく微笑んだ。
その隣では、桃華がタオルをきれいに並べている。
「これで準備OK!」
「うん。」
こむぎも笑顔でうなずいた。
コートでは、選手たちが軽く体を動かしていた。
「一本!」
遥斗のシュートがきれいに決まる。
「ナイス!」
湊がボールを拾って返す。
その様子を見ていた凜空が感心したように笑う。
「やっぱり先輩たちはすごいな。」
「まだまだだよ。」
遥斗は照れくさそうに頭をかいた。
「でも、今日は負けるつもりはない。」
その一言に、一年生たちの表情も引き締まった。
「集合。」
高橋部長が全員を呼ぶ。
部員たちはすぐに集まった。
「次の相手は、白鷺高校。」
その名前を聞いた瞬間、体育館の空気が少し変わる。
「去年の大会でも上位まで勝ち進んだチームだ。」
「簡単な相手じゃない。」
全員が真剣な表情で話を聞いていた。
「でも。」
部長は静かに続ける。
「俺たちがやることは変わらない。」
「声を出して、仲間を信じて、一つひとつのプレーを大切にする。」
「はい!」
力強い返事が響く。
その後、翔哉が笑いながら前へ出た。
「そんな固くなるな!」
「相手も同じ高校生だ!」
部員たちから少し笑いがこぼれる。
「楽しんでこい!」
その言葉で、張りつめていた空気が少し和らいだ。
試合開始十分前。
アップを終えた選手たちは、ベンチへ戻ってきた。
こむぎは一本ずつドリンクを手渡す。
「頑張ってください。」
「ありがとう。」
悠真は静かに受け取る。
凜空は笑顔で親指を立てた。
「勝ってくる!」
蒼も気合十分だ。
「二回戦も暴れるぞ!」
「暴れすぎるなよ。」
颯馬がすかさずツッコみ、みんなが笑う。
真斗は少し緊張した表情を浮かべながらも、そっとこむぎを見る。
「……。」
こむぎは他の選手にもドリンクを配っていて、その視線には気づかない。
(よし。)
(次も、いいところを見せる。)
真斗は小さく拳を握った。
『まもなく第二回戦を開始します。』
アナウンスが体育館に響く。
選手たちは一斉に立ち上がる。
高橋部長が全員を見渡した。
「行くぞ。」
「はい!」
コートへ向かう背中を、こむぎと桃華、彩花が見送る。
「みんな、頑張って。」
こむぎは胸の前でそっと手を握る。
その願いを乗せるように――
ピーーーッ!
二回戦、白鷺高校との試合が始まった。




