第52話 レギュラー発表
翌日。
体育館には、いつも以上の緊張が張りついていた。
全員が整列する。
その中央に、高橋部長が立つ。
手には一枚の紙。
「夏大会のメンバーを発表する。」
その一言で、空気が一気に重くなる。
「まずレギュラー。」
部長の声が響く。
「ポイントガード。」
「東雲悠真。」
悠真は一歩前へ出る。
「はい。」
静かに頭を下げた。
「シューティングガード。」
「朝倉凜空。」
「よっしゃ。」
小さく拳を握って前に出る。
「スモールフォワード。」
「神崎蒼。」
「来た!」
勢いよく一歩踏み出す。
「パワーフォワード。」
「相原遥斗。」
「了解。」
落ち着いたまま前へ。
少し間が空く。
体育館が静まり返る。
「センター。」
「横井湊。」
「……はい。」
ゆっくりと前へ出た。
「以上が現時点のスタメンだ。」
一瞬の沈黙。
それぞれの胸の中に、違う感情が走る。
颯馬は息をのむ。
真斗は拳を強く握る。
「だが。」
部長の声が続く。
「ここで決まったわけじゃない。」
「控えも含めて、全員まだ可能性はある。」
その言葉で少し空気が緩む。
練習終了後。
部長が続ける。
「明日からは寮生活を本格的に始める。」
「寮?」
蒼が聞き返す。
「そうだ。」
「夏大会までの期間、全員寮で生活する。」
ざわつく体育館。
寮生活スタート
夕方。
部員たちは大きな建物の前に集まっていた。
「ここが寮か……」
真斗が見上げる。
「でかいな。」
凜空が笑う。
部長の声。
「ここからは寮生活だ。」
「男女は同じ棟に住む。」
一瞬、少しざわつく。
「ただし。」
「部屋は完全に別エリア。」
「男子は男子、女子は女子だ。」
「食堂・廊下・ラウンジは共用だ。」
「そこでの行動は自由だが、節度は守れ。」
その説明に、少し空気が和らぐ。
部屋割り(一年男子)
悠真・佐久
凜空・蒼
真斗・颯馬
「よろしく。」
悠真が静かに言う。
「おう。」
佐久が短く返す。
「よっしゃあ!」
真斗が拳を握る。
「絶対うるさいやつじゃんこれ」
颯馬が笑う。
「最高!」
凜空が蒼の肩を叩く。
「楽しくなりそうだな」
その頃、女子側。
こむぎは女子エリアの部屋割りを見ていた。
桃華が隣で目を輝かせる。
「寮生活ってすごいね!」
「うん……ちょっと緊張する。」
莉音が笑う。
「大丈夫。」
「食堂でみんな会うから、すぐ慣れるよ。」
こむぎは小さくうなずいた。
(同じ建物にいるんだ……)
夜。
寮の廊下。
コツ、コツ……
それぞれの部屋へ向かう足音。
男子エリア。
女子エリア。
同じ建物の中で、静かに時間が流れていく。
凜空は天井を見上げる。
蒼はベッドに倒れ込む。
悠真は窓の外を見る。
佐久は静かに座る。
真斗はすでにうるさい。
颯馬がツッコむ。
そしてこむぎは。
ノートを開いていた。
(明日から……本格的に変わる)
寮生活。
それは、夏大会へ向けた新しい日常の始まりだった。




