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第51話 レギュラー発表前夜

放課後の体育館。

いつもの練習後とは違い、空気が少し重かった。

「明日。」

高橋部長が静かに言う。

「夏大会のメンバーを発表する。」

その一言で、体育館の温度が変わる。

「ついにか〜」

佐々木副部長が笑いながら言うが、いつもより声が軽くない。

「まぁ、分かってはいたけどな。」

横井湊も小さくうなずく。

一年生たちは、さらに緊張していた。

蒼は拳を握る。

「絶対入る。」

凜空は軽く笑う。

「まぁ、入るでしょ」

だが目は真剣だ。

悠真は何も言わず、ボールを見ていた。

(入るかどうかじゃない)

(入った上で、どう勝つかだ)

佐久が隣でぽつりと言う。

「明日で決まるな。」

「……ああ。」

短い返事。

でも、二人の間には少しだけ“戦友”の空気があった。

一方。

「真斗!」

「おう!」

颯馬が肩を叩く。

「お前、今日やたら気合入ってたな」

「当たり前だろ!」

真斗は即答する。

「明日で決まるんだぞ!」

「こむぎさんに“すごい”って思われるチャンスだし!」

「やっぱそれかよ!」

颯馬が笑う。

でも、その笑いは少し優しかった。

マネージャー組。

「こむぎちゃん。」

星野彩花が声をかける。

「明日は記録、いつもより正確にお願いね。」

「はい。」

こむぎはノートを抱える。

その表情はいつもより少しだけ固い。

「緊張してる?」

桃華が小さく聞く。

「うん……少し。」

莉音が横から笑う。

「大丈夫だよ。」

「マネージャーはプレーじゃなくて、支える側なんだから。」

こむぎは少しだけうなずいた。

その夜。

体育館の明かりは消えていたが、

それぞれの家で、同じことを考えていた。

(絶対スタメン)

凜空

(面白くなってきた)

悠真

(勝つために必要な場所に立つ)

佐久

(落ち着いてやるだけだ)

真斗

(こむぎさんに見せる)

颯馬

(とりあえず全力)

そしてこむぎ。

机の前でノートを開く。

今日の練習記録。

丁寧な字。

でも少しだけ、手が止まる。

(明日……)

(みんな、変わるのかな)

窓の外には夜の静けさ。

その頃。

高橋部長は一人、体育館に立っていた。

ボールを軽くつく。

ポン……ポン……

(夏大会は、ここからだ)

静かに目を閉じる。

そして翌日。

すべてが決まる日がやってくる。

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