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第48話 静かな2人

放課後。

部活が始まる前。

体育館には、まだ数人しか来ていなかった。

「おはようございます。」

悠真が体育館へ入る。

「お、悠真!」

高橋部長が軽く手を挙げる。

「早いな。」

「少しでも練習したくて。」

「いい心がけだ。」

部長は満足そうにうなずいた。

コートでは、一人の一年生がシュート練習をしていた。

「……。」

紺野佐久だった。

ボールを拾い、またシュート。

外れても、何も言わずにもう一本。

黙々と繰り返している。

悠真は少し離れた場所で、その様子を見つめていた。

(……真面目だな。)

しばらくして。

シュートがリングに当たり、大きく跳ね返る。

コロコロ……。

ボールが悠真の足元まで転がってきた。

悠真は拾い上げる。

「はい。」

佐久へ優しく投げ返した。

「ありがとう。」

短いやり取り。

それだけだった。

また数分後。

「……入らないな。」

珍しく、佐久が小さくつぶやく。

悠真は少し考えてから言った。

「少しだけ。」

「力が入りすぎてるかも。」

佐久はボールを見つめる。

「……そうかな。」

「多分。」

もう一度シュート。

スパッ。

今度はきれいにネットを揺らした。

「……入った。」

佐久が少し笑う。

「ありがとう。」

「どういたしまして。」

悠真も少しだけ笑った。

その様子を、入口から見ていた二人。

「おっ。」

相原遥斗が笑う。

「話してる。」

横井湊もうなずく。

「静かな者同士、気が合うのかもしれませんね。」

「そうかも。」

その頃。

マネージャー組。

「こむぎちゃん。」

星野彩花がノートを渡す。

「今日は選手のシュート成功数を記録してみようか。」

「はい!」

「難しく考えなくて大丈夫。」

「一本入ったら一本書くだけ。」

「分かりました!」

こむぎは真剣な表情でメモを取り始める。

「すごい集中力。」

莉音が感心する。

「こむぎちゃん、本当に丁寧だよね。」

桃華も笑う。

「勉強もすごくできるんですよ!」

「へぇ!」

彩花は少し驚いた。

「そうなんだ。」

こむぎは照れくさそうに笑う。

「たまたまです。」

「その『たまたま』で学年一位はすごいけどね。」

桃華の一言に、こむぎはさらに照れてしまう。

練習終了後。

高橋部長が一年生を集める。

「今日はここまで。」

「明日からは二人一組のメニューも増やす。」

「パートナーはその日に発表する。」

「はい!」

一年生たちは元気よく返事をした。

帰り道。

「佐久。」

悠真が声をかける。

「ん?」

「今日のシュート。」

「さっきより良かった。」

佐久は少し驚いたあと、小さく笑った。

「ありがとう。」

「また教えて。」

「……分かった。」

ほんの短い会話。

でも、それは二人が初めて自分から交わした約束だった。

夕焼けの道を歩きながら、少しずつ距離は縮まっていく。

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