第47話 猫好きな先輩
放課後。
いつものように部活が始まる。
「一年生、アップ始めるぞ!」
「はい!」
選手たちはコートへ向かい、こむぎたちマネージャーは準備を始めた。
「こむぎちゃん。」
星野彩花が優しく声をかける。
「ボトルお願いできる?」
「はい!」
こむぎは一本ずつ丁寧に並べていく。
その様子を彩花は嬉しそうに見つめていた。
「もう一人でも任せられそうだね。」
「まだまだです。」
「ふふっ、その謙虚なところもこむぎちゃんらしいね。」
練習は順調に進み、休憩時間。
「ふぅ……。」
こむぎが給水ボトルを並べていると、
「こむぎちゃん。」
相原遥斗が近づいてきた。
「お疲れさま。」
「お疲れさまです。」
遥斗はボトルを受け取りながら笑う。
「そういえばさ。」
「この前、猫好きって言ってたよね?」
「はい。」
こむぎの猫耳がぴくっと動く。
「実は昨日も猫カフェ行ってきたんだ。」
「えっ!」
珍しく、こむぎが少し前のめりになる。
「本当ですか?」
「うん。」
遥斗はスマホを取り出した。
「見て。」
画面には、丸くなって眠る茶トラ猫。
「……かわいい。」
こむぎの表情がぱっと明るくなる。
「この子、人懐っこくてね。」
「膝の上で寝ちゃった。」
「いいなぁ……。」
その一言に、遥斗は思わず笑った。
「今度おすすめの猫カフェ教えるよ。」
「ありがとうございます!」
少し離れた場所。
桃華はその様子を見ていた。
「すごい……。」
莉音が首をかしげる。
「どうしたの?」
「こむぎ、あんなに楽しそうに話してるの初めて見ました!」
「猫の話だからかな?」
「多分!」
二人はくすっと笑った。
一方、その様子を見ていた真斗。
(話したい……。)
(でも今は猫の話中だし……。)
「はぁ……。」
隣にいた颯馬が笑う。
「どうした?」
「タイミング逃した。」
「何の?」
「こむぎさんに話しかけるタイミング!」
「またかよ!」
蒼も笑い出す。
「焦らなくても、そのうち話せるって!」
「そうかな?」
「そうそう!」
練習終盤。
高橋部長が声を上げる。
「一年生、集合。」
「はい!」
「来週から練習メニューを少し変える。」
「基礎だけじゃなく、実戦形式も増やしていく。」
凜空の目が輝く。
「楽しみ!」
悠真も静かにうなずいた。
「頑張ります。」
部活が終わり、片付けをしていると。
「こむぎちゃん。」
彩花が声をかける。
「今日はすごく仕事がスムーズだったよ。」
「本当ですか?」
「うん。」
「もう立派なマネージャーだね。」
こむぎは少し照れながら笑う。
「ありがとうございます。」
その笑顔を見て、彩花も自然と笑顔になった。
(やっぱり、かわいい後輩だな。)
帰り道。
桃華がニコニコしながら歩く。
「今日は猫トークで盛り上がってたね!」
「うん。」
「すごく楽しかった。」
こむぎがそう答えると、桃華も嬉しそうに笑った。
夕焼けの空の下。
四人はいつものように並んで帰っていく。
少しずつ。
部活でも、新しい絆が生まれ始めていた。




