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第44話 それぞれのスタートライン

放課後。

体育館にはいつも以上に活気があった。

「よし、一年生!」

高橋部長が手を叩く。

「今日から本格的に練習に入る。」

「経験者と初心者でメニューを分けるから、名前を呼ばれたら移動してくれ。」

「はい!」

一年生が返事をする。

「経験者組。」

「朝倉凜空。」

「東雲悠真。」

「神崎蒼。」

「紺野佐久。」

四人が前へ出る。

「初心者組。」

「橋本颯馬。」

「高梨真斗。」

二人も返事をして移動した。

「初心者だからといって焦る必要はない。」

「基礎をしっかり身につけよう。」

高橋部長の言葉に、颯馬と真斗は力強くうなずいた。

一方、マネージャー。

「こむぎちゃん、桃華ちゃん。」

星野彩花が二人を呼ぶ。

「今日は仕事を一通りやってみよう。」

「はい!」

「まずはビブスを並べるところからね。」

「分かりました!」

こむぎは丁寧に一枚ずつ並べていく。

桃華は飲み物の準備を始めた。

「桃華ちゃん。」

莉音が声をかける。

「ボトルは番号順に並べると配りやすいよ。」

「あ、なるほど!」

「ありがとうございます!」

「慣れたらすぐできるようになるよ。」

コートでは経験者組の練習が始まる。

「まずは軽く1対1。」

佐々木副部長がボールを持つ。

「凜空、蒼。」

「はい!」

二人が向かい合う。

「始め!」

凜空が素早くドリブルで仕掛ける。

しかし、蒼も簡単には抜かせない。

「いいぞ!」

「ナイスディフェンス!」

先輩たちから声が飛ぶ。

数分後。

「終了!」

二人とも笑顔だった。

「楽しかった!」

「凜空、速いな!」

「蒼も上手いじゃん!」

早くも二人は打ち解け始めていた。

その隣では。

「悠真。」

相原遥斗が声をかける。

「俺とやってみる?」

「お願いします。」

一対一が始まる。

悠真は冷静に相手の動きを見る。

遥斗は笑いながら仕掛ける。

「おっ、落ち着いてるね。」

悠真はフェイントをかわし、シュート。

「ナイス!」

ボールはきれいにリングを通った。

遥斗は拍手する。

「やるじゃん!」

「ありがとう、ございます。」

高橋部長は腕を組みながら、その様子を見ていた。

(今年の一年……。)

(思っていた以上に面白い。)

その頃。

こむぎは体育館の隅でタオルを畳んでいた。

「丁寧だね。」

星野彩花が微笑む。

「ありがとうございます。」

「こむぎちゃんは、一つひとつの仕事をちゃんと大切にしてる。」

「そういうところ、すごくいいと思う。」

こむぎは少し照れたように笑った。

「まだ覚えることばかりですけど……。」

「大丈夫。」

彩花は優しくうなずく。

「焦らなくても、ちゃんと成長できるよ。」

練習終了後。

「集合!」

高橋部長の声が体育館に響く。

「今日の一年生は全員よく頑張った。」

「特に経験者組は積極的だった。」

「初心者組も基礎を大事にして続けていこう。」

「マネージャー二人も、初日とは思えない動きだった。」

桃華とこむぎは顔を見合わせ、小さく笑った。

「ありがとうございます!」

帰り道。

「今日は疲れた〜!」

桃華が大きく伸びをする。

「でも楽しかった!」

「うん。」

こむぎも笑顔でうなずく。

凜空が笑いながら言う。

「俺、明日筋肉痛かも!」

「それはないだろ。」

悠真が小さくツッコむ。

四人の笑い声が、夕暮れの道に響いていた。

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