第43話 頼れる先輩たち
放課後。
体育館に一年生が集まる。
顧問の先生が前へ出た。
「昨日は一年生の自己紹介だったな。」
「今日は先輩たちを紹介する。」
「しっかり顔と名前を覚えておけ。」
「はい!」
一年生が元気よく返事をする。
最初に前へ出たのは、背の高い男子生徒だった。
「三年、高橋凌河。」
「男子バスケ部部長だ。」
短い自己紹介だったが、体育館の空気が自然と引き締まる。
「練習中は厳しく言うこともある。」
「でも、分からないことがあれば遠慮なく聞いてくれ。」
「よろしくお願いします!」
一年生が頭を下げた。
続いて、隣の男子が大きく手を挙げる。
「副部長の佐々木翔哉でーす!」
「部長は見た目クールだけど――」
「翔哉。」
高橋部長が静かに名前を呼ぶ。
「はい。」
「変な紹介をするな。」
「まだ何も言ってません!」
「言うつもりだっただろ。」
「……バレました。」
体育館に笑い声が響く。
「まあ、気軽に話しかけて!」
「みんなで楽しく頑張ろう!」
翔哉らしい笑顔だった。
続いて二年生。
「二年の相原遥斗です。」
「ポジションはスモールフォワード。」
「よろしく!」
爽やかに笑う。
「あと、猫が大好き。」
「猫?」
颯馬が思わず反応する。
「休日は猫カフェにも行くよ。」
その言葉に、こむぎの猫耳がぴくっと動いた。
遥斗はその様子に気づき、にこっと笑う。
「猫好きなら、今度おすすめ教えるね。」
「はい。」
こむぎも自然と笑顔になった。
次に前へ出た男子が軽く会釈する。
「二年の佐野瑠衣。」
「ポジションはポイントガード。」
「困ったことがあったら何でも聞いて。」
「一年生のみんな、よろしく。」
話し終えると、隣にいた遥斗が肩を軽くたたく。
「真面目すぎ。」
「普通だろ。」
二人のやり取りに、部員たちが笑う。
最後の二年生。
「二年の横井湊です。」
「よろしくお願いします。」
短い自己紹介だったが、落ち着いた雰囲気が伝わる。
高橋部長が一言添える。
「湊は二年のまとめ役みたいな存在だ。」
「頼れる先輩だから、相談してもいい。」
湊は少し照れくさそうに笑った。
「そんな大したことないですよ。」
続いてマネージャー。
「三年の星野彩花です。」
「マネージャーをしています。」
「仕事は少しずつ覚えていけば大丈夫。」
「分からないことは何でも聞いてね。」
優しい笑顔に、桃華がほっと息をつく。
「よろしくお願いします!」
こむぎも笑顔で頭を下げた。
最後は二年マネージャー。
「二年の高梨莉音です。」
「よろしくね。」
少し間を置いて、笑顔で続ける。
「ちなみに……。」
「一年生の高梨真斗は、私の弟です。」
「えっ!?」
蒼と颯馬が同時に声を上げた。
「姉弟だったの!?」
「そう。」
莉音は笑ってうなずく。
真斗は少し照れたように頭をかく。
「別に隠してたわけじゃないけど。」
「真斗。」
莉音が呼び捨てで名前を呼ぶ。
「部活ではちゃんと先輩って呼びなよ?」
「分かってるって、莉音先輩。」
そのやり取りに、一年生も先輩たちも笑顔になる。
自己紹介が終わると、高橋部長が全員を見渡した。
「改めて。」
「今日からこのメンバーで男子バスケットボール部を作っていく。」
「経験者も初心者も関係ない。」
「互いに支え合って、強いチームを目指そう。」
「はい!」
体育館いっぱいに返事が響く。
こむぎは周りを見渡した。
優しそうな先輩たち。
個性豊かな同期。
(……この部活なら。)
(きっと、毎日が楽しくなりそう。)
猫耳が小さく揺れる。
新しい部活の日々は、ここから本格的に始まるのだった。




