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第38話 もしかして

放課後。

「先に昇降口行ってるね!」

「うん、すぐ行く!」

桃華たちと別れたこむぎは、先生に頼まれたノートを職員室へ届けていた。

教室へ戻る途中。

廊下の掲示板の前を通りかかる。

そこには文化祭のお知らせや委員会の連絡が並んでいた。

その隅に、小さな紙が一枚貼られている。

『落とし物のお知らせ』

その紙が少し斜めになっていた。

「曲がってる……。」

こむぎは何気なく直そうと手を伸ばす。

その瞬間。

紙の裏から、一枚のメモがひらりと落ちた。

「……あれ?」

拾い上げる。

そこには手書きで、

『非公式 こむぎファンクラブ』

と書かれていた。

「……え?」

思わず固まる。

その下には小さな文字。

『会員以外には見せないこと』

『本人に知られないよう注意』

『次回の活動は金曜日』

「…………。」

頭が真っ白になる。

(こむぎ……って。)

もう一度紙を見る。

『非公式 こむぎファンクラブ』

(これって……。)

自分の名前。

偶然同じ名前とは思えない。

そのとき。

「あっ!」

廊下の向こうから女子生徒の声。

「あ、あの紙!」

「しまった!」

二人が慌てて走ってくる。

こむぎは紙を持ったまま振り返った。

「あの……これ。」

女子たちは立ち止まる。

お互いの顔を見合わせる。

「……。」

「……。」

沈黙。

やがて一人が小さく頭を下げた。

「ご、ごめんなさい……。」

もう一人も続く。

「隠すつもりだったんです……。」

こむぎは紙と二人を見比べる。

「これって……。」

聞こうとした、そのとき。

「こむぎ!」

桃華の声が廊下に響いた。

振り向くと、桃華だけじゃない。

悠真と凜空も走ってきていた。

三人は紙を見た瞬間、すべてを察する。

桃華が小さくつぶやく。

「……とうとう見つかっちゃった。」

こむぎは三人を見る。

そして、もう一度紙を見る。

「……もしかして。」

その一言で、空気が静まり返る。

誰も否定しない。

こむぎはゆっくり息を吸った。

「……私の、こと?」

返事はまだない。

でも。

その沈黙だけで、答えはほとんど分かってしまった。

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