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第35話 こむぎちゃん会議

昼休み。

一年A組の教室から少し離れた中庭。

ベンチの周りに、女子生徒が数人集まっていた。

「それじゃあ、今日の会議始めるよ!」

「はーい!」

誰かが手帳を開く。

その表紙には、小さく書かれていた。

『こむぎファンクラブ(非公式)』

もちろん、こむぎ本人は知らない。

「まず今日の報告!」

「朝、校門で一年生に道を聞かれてたよ!」

「ちゃんと笑顔で教えてた!」

「やっぱり優しい……!」

「メモメモ!」

みんなが楽しそうに手帳へ書き込んでいく。

「次!」

「体育でボール拾ってあげてた!」

「相手、お礼言う前に走って行っちゃったけど、こむぎちゃん全然気にしてなかった!」

「そういうところ好き!」

「分かる〜!」

「今日のベストシーンは?」

一人が聞くと、みんなが一斉に手を挙げた。

「昼休み!」

「桃華ちゃんと笑ってたところ!」

「いや、私は悠真くんと少し話してたところ!」

「私は凜空くんが『おはよう』って言ったら笑って返したところ!」

「全部よかった!」

みんなで笑い合う。

その様子を少し離れた場所から見ていた二人がいた。

「……また集まってる。」

桃華が小さくつぶやく。

隣のこむぎも、その方向を見る。

「何の集まりなんだろう?」

「さあ……?」

遠すぎて声までは聞こえない。

楽しそうに笑っていることしか分からなかった。

中庭では会議が続いていた。

「そういえば!」

一人の女子が嬉しそうに言う。

「テスト1位のお祝い、何かしたくない?」

「いいね!」

「でも本人にバレるのはダメ!」

「それは絶対!」

「こっそり応援するのがファンクラブだから!」

全員が大きくうなずく。

どうやら、それがこのファンクラブのルールらしい。

「じゃあ今日の会議終了!」

「また明日!」

みんなは笑顔で解散していく。

その頃、こむぎは桃華と一緒に教室へ戻っていた。

「さっきの人たち、楽しそうだったね。」

「うん。」

「何の話してたんだろう。」

「気になる?」

「ちょっとだけ。」

桃華は苦笑いする。

(……こむぎ本人の話なんだけどね。)

もちろん、そのことはまだ言わない。

もう少しだけ、この秘密は秘密のままで。

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