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第24話 テスト初日

定期テスト初日。

朝の教室は、いつもより静かだった。

机の上には、最低限の筆記用具だけが並んでいる。

「今日って英語だっけ……」

誰かのつぶやきに、うっすら緊張が混ざる。

こむぎは自分のノートを見つめながら、小さく息を吐いた。

(ここは……多分大丈夫)

でも、完全に安心できるほどの自信はまだない。

後ろから、軽い声。

「昨日のとこ、ちゃんと覚えてる?」

悠真だった。

こむぎは少しだけ振り返る。

「……うん、多分」

「“多分”はやめろ」

いつも通りの言い方。でも、昨日より少しだけ近い距離でノートを見てくる。

「ここ、出たら落とすぞ」

ペンで指された場所は、こむぎが夜に何度も見直したところだった。

「そこは大丈夫……だと思う」

「ならいい」

短い会話。

それなのに、こむぎの中の不安は少しだけ減っていた。

前の方では、凜空が机に肘をついて伸びている。

「英語ってさ、単語勝負じゃない?」

「違うから」

すぐにツッコミが入る。

「えー、雰囲気でいけると思ってたのに」

「それ一番ダメなやつ」

クラスに小さな笑いが起きる。

その空気の中で、こむぎは少しだけ肩の力を抜いた。

(……みんな、普通に緊張してるんだ)

そのとき、チャイムが鳴る。

「じゃあ、テスト用紙配るぞー」

先生の声と同時に、空気が一気に変わる。

紙が配られる音。

ページをめくる音。

そして、静寂。

こむぎは問題用紙を見た瞬間、少しだけ目を細めた。

(……いける)

隣の席。

悠真はもう最初の問題に手をつけている。

迷いがない。

その横顔を一瞬だけ見て、こむぎもペンを握り直す。

前の席では凜空が小さく息を吐いた。

「……よし」

その声は、いつもの軽さとは少し違っていた。

テスト期間はまだ始まったばかり。

でもこの日が、最初の静かな勝負だった。

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― 新着の感想 ―
仲間との会話で緊張解れるの青春だな……
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