第22話 放課後の勉強会
放課後。
教室には、部活動へ向かう生徒や帰り支度をする生徒の姿があった。
「こむぎ!」
桃華が教科書を抱えながら駆け寄ってくる。
「約束通り、勉強教えて~!」
「うん!」
こむぎは笑顔でうなずいた。
「じゃあ、ここでやろっか。」
二人が席に座ると、凜空もやって来た。
「俺もいい?」
「もちろん!」
三人は机を寄せ、教科書を開く。
「じゃあ最初は数学から!」
こむぎが言うと、桃華は苦笑いした。
「一番苦手なやつだ……。」
「どこが分からないの?」
「全部!」
「全部!?」
こむぎと凜空は思わず顔を見合わせ、笑ってしまった。
「じゃあ、一問ずつやろう。」
「うん!」
こむぎはノートに問題を書きながら説明を始める。
「ここは、この式を先に計算すると分かりやすいよ。」
「あっ!」
桃華は目を丸くした。
「そういうことだったんだ!」
「分かった?」
「うん!」
嬉しそうに何度もうなずく。
「こむぎ、教えるの上手だね。」
凜空が感心したように言った。
「そうかな?」
「うん。すごく分かりやすい。」
「ありがとう。」
こむぎは少し照れながら笑った。
しばらく勉強を続けていると、教室の扉が開いた。
「……。」
入ってきたのは悠真だった。
忘れ物を取りに来たようで、自分の席へ向かう。
「あっ、悠真!」
こむぎが声をかける。
悠真は足を止め、振り返った。
「勉強会?」
「うん! 桃華に勉強教えてるの。」
「そう。」
短く返事をすると、忘れ物を手に取る。
そのとき、桃華が慌てた様子で言った。
「悠真くん! この問題分かる?」
悠真はノートを見る。
「……ここは。」
そう言って、必要なところだけを簡潔に説明した。
「なるほど!」
桃華は目を輝かせる。
「分かった!」
「ありがとう。」
こむぎが笑顔でお礼を言うと、悠真は少しだけ表情をやわらげた。
「……別に。」
そう言い残し、教室を出て行く。
「相変わらず無口だね。」
凜空が苦笑する。
「でも、ちゃんと教えてくれたね!」
こむぎは嬉しそうに笑った。
「うん。」
桃華もうなずく。
「よーし! この調子でテスト頑張るぞ!」
「おー!」
三人の元気な声が、夕暮れの教室に響いた。




