第2話 初めての休み時間
転校初日が終わるまで、まだ半分もあるらしい。
そう気づいたのは、1時間目の授業が終わったあとだった。
「ねえねえ、それ本物なの?」
休み時間になった瞬間、机の周りに人が集まった。
昨日まで静かだった場所が、急にざわざわし始める。
「耳、触っていい?」
「尻尾ってどう動くの?」
「ちょ、順番ね順番!」
私は苦笑しながら手をひらひらさせる。
「えーと、落ち着いて〜」
耳に視線が集中するのはまだいい。
問題は尻尾だ。
勝手に動くせいで、リアクションが全部バレる。
(やめてほしいんだけど、この尻尾)
そう思った瞬間。
ふわっ。
「今、嬉しかったでしょ」
「尻尾わかりやすっ」
「ちがうし!」
即バレした。
そのとき、少し離れた席から声がした。
「珍しいね、それ」
振り向くと、昨日の男子がこちらを見ていた。
他の生徒と違って、妙に落ち着いている。
「獣人って、本当にいるんだな」
「だからいるって言ってるじゃん」
私は軽く笑って返す。
その瞬間、少しだけ教室が静かになった。
“いるのが当たり前じゃない存在”として見られているのを、また感じる。
「でもさ」
男子は少しだけ考えてから言った。
「なんでここに来たの?」
一瞬、言葉が止まる。
転校理由なんて、ただの都合だ。
でも、この世界で“唯一”であることと関係あるのかもしれない。
「……普通の学園生活してみたかったから、かな」
私はそう答えて、笑ってみせた。
でもそのとき、尻尾は正直だった。
少しだけ、落ち着かない動きをしていた。
(ここ、ほんとに普通じゃないな)
そう思ったのに。
(でも、ちょっと楽しいかも)
そんな気持ちも、少しだけあった。




