第133話 企画会議
翌日。
教室に入ると、黒板の端に大きく『文化祭』と書かれていた。
その下には、昨日決まった出し物の名前――『お化け屋敷』。
「おはよー、こむぎ!」
「おはよう、桃華」
席に着くと、桃華がさっそく黒板を指さした。
「ねぇねぇ、昨日の続き、今日も話し合うんだよね!」
「うん。どんな感じになるのか楽しみだね」
「でしょ!」
桃華は朝からやる気満々だ。
ホームルームが終わり、先生から文化祭の準備について改めて話があったあと、クラスでの話し合いが始まった。
「昨日は出し物が決まったから、今日は具体的な内容を考えていこう!」
凜空が黒板の前に立ち、チョークを手に取った。
「まずは、どんな雰囲気のお化け屋敷にするかだな」
「やっぱり真っ暗にするのがいいんじゃない?」
「でも、真っ暗すぎると危なくない?」
「じゃあ、少しだけ明かりを残すとか!」
次々に意見が出てくる。
教室を暗くして、机や段ボールで通路を作る。壁には不気味な飾りをつけて、ところどころにお化け役の人が隠れる。
大がかりな仕掛けは難しそうだけれど、工夫すれば十分に怖い雰囲気を作れそうだった。
「お客さんが通ってる途中で、急に驚かせるのはどう?」
「それは絶対びっくりするだろ!」
「驚かせる側も楽しそう!」
盛り上がるクラスメイトたちを見ていると、私もだんだん楽しみになってきた。
「こむぎは、何かやりたいことある?」
桃華に聞かれ、少し考える。
「うーん……。お化け役とか?」
「おっ、いいじゃん!」
「でも、私に怖がらせる役ができるかなぁ」
「大丈夫だって! 練習すればなんとかなるよ!」
桃華はそう言って、ぐっと親指を立てた。
その自信はどこから来るんだろう。
思わず苦笑してしまった。
「じゃあ、役割もそろそろ考えていこうか」
凜空が黒板に『受付』『お化け役』『裏方』と書き加えた。
「受付はお客さんの案内とか、順番の整理。裏方は道具の準備や、仕掛けの確認だな。お化け役は中で驚かせる係!」
「裏方も結構大事そうだね」
私が呟くと、凜空が頷いた。
「そうそう。全員がお化け役ってわけにもいかないしな」
「じゃあ、私は受付でもいいかも!」
桃華が手を挙げる。
「桃華は受付希望ね。了解!」
凜空は黒板の端に名前を書き込んだ。
そのあとも、クラスメイトたちが希望する役割を伝えていく。
もちろん、まだ仮決定だ。人数のバランスを見ながら、あとで調整することになった。
「俺は裏方かな。仕掛けを作るの、面白そうだし」
「じゃあ、俺も手伝う!」
そんな声を聞きながら、私は黒板を眺めた。
自分がどんな役をするのか、まだはっきりとは決まっていない。
でも、少しずつ形になっていくのを見るのは楽しかった。
「よし! 今日はここまでにしよう。次は飾りつけや必要な道具についても考えていこうぜ!」
凜空の声に、みんなが頷く。
放課後、桃華と一緒に教室を出る。
「文化祭、どんどん楽しみになってきたね!」
「うん!」
まだ準備は始まったばかり。
これからどんなものができあがるのか、想像するだけでわくわくした。




