↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
131/136

第131話 文化祭がやってくる

 夏休みが終わってしばらく経った、ある日の朝。


 窓から差し込む日差しはまだ少し暑いけれど、吹き込んでくる風には、ほんの少しだけ秋の気配が混ざっていた。


「ねぇ、こむぎ! 知ってる?」


 教室に入るなり、桃華がこちらへ駆け寄ってきた。


「ん? どうしたの?」


「もうすぐ文化祭だよ!」


「あ、そういえば!」


 言われてみれば、廊下の掲示板にも文化祭の日程が貼られていた気がする。


 けれど、夏休み明けの学校生活に慣れることで頭がいっぱいで、そこまで意識していなかった。


「楽しみだね!」


「うん! 文化祭って、どんなことするんだろうね?」


「食べ物とか売ったりするのかな? それとも、なんかゲームとか?」


「クラスによって違うんじゃない?」


 二人でそんな話をしながら席に着く。


 周りを見れば、ほかのクラスメイトたちも文化祭の話題で盛り上がっていた。


「うちのクラス、何やるんだろうな」


「普通に考えたら、喫茶店とか?」


「いや、せっかくだし、もっと面白いのがいいだろ!」


 そんな声があちこちから聞こえてくる。


 まだ何も決まっていないのに、みんなの顔はどこか楽しそうだった。


 やがて、朝のホームルームが始まった。


「はい、みんな席についてー」


 担任の先生が教室に入ってくると、少しずつ話し声が小さくなっていく。


「今日は連絡事項がある。来月、文化祭が開催されるのは知っているな?」


 その言葉に、教室の空気が少し変わった。


「今年も例年通り二日間の開催だ。各クラスで出し物を企画してもらうことになる。詳しいルールは後で配布するから、まずはクラスで何をやるか考えておくように」


「二日間!?」


「やったー!」


「何やろうかな!」


 先生が話している途中から、あちこちで小さな歓声が上がる。


「こらこら、まだ説明の途中だぞ」


 先生に注意され、みんなが慌てて口を閉じた。


 けれど、楽しみな気持ちは隠しきれないらしい。


 先生が出ていった途端、再び教室がにぎやかになった。


「二日間もあるんだって!」


 桃華が目を輝かせている。


「うん。いろんなところを回れそうだね」


「それも楽しみだけど、うちのクラスの出し物も大事だよ!」


「確かに!」


 自分たちのクラスで何をするのか。


 そう考えると、なんだか急にわくわくしてきた。


 せっかくの高校生活で、初めての文化祭。


 どうせなら、みんなで楽しめるものがいい。


 そんなことを考えていると、前の席に座っていた凜空が振り返った。


「二人は何やりたい?」


「うーん……。まだ全然決めてないかな」


 私が答えると、桃華が勢いよく手を挙げた。


「はい! 私は食べ物系!」


「お、いいじゃん。何がいいの?」


「たこ焼きとか、クレープとか!」


「食べたいだけじゃん」


「だっておいしいじゃん!」


 桃華が頬を膨らませる。


 その様子を見て、凜空が笑った。


「まぁ、確かに食べ物系は楽しそうだけどな。ほかにもいろいろあるし、みんなの意見を聞いてから決めようぜ」


「そうだね!」


 凜空の言葉に、私も頷いた。


 その後も、クラスのあちこちからいろいろな案が飛び出してきた。


 喫茶店、ゲームコーナー、射的、迷路。


 中には、聞いたことのないような企画まであった。


「迷うねぇ……」


「ね。どれも楽しそう!」


 桃華と顔を見合わせる。


 まだ何も決まっていない。


 けれど、だからこそ、これから何が決まっていくのか楽しみだった。


 放課後になれば、きっと本格的に話し合いが始まるだろう。


 高校最初の文化祭。


 その準備が、いよいよ始まろうとしていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。