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第124話 猫カフェの翌日

翌日。


放課後の教室。


こむぎは帰る準備をしながら、スマホの画面を眺めていた。


昨日、遥斗と交換した連絡先。


そこには、昨日の猫カフェで撮った写真が何枚か届いている。


丸くなって眠っている猫。


こちらをじっと見つめている猫。


おもちゃに飛びついている猫。


どの写真を見ても、昨日のことが思い出される。


「……かわいい。」


こむぎは思わず小さく呟いた。


「こむぎ、何見てるの?」


隣で帰る準備をしていた桃華が覗き込む。


「昨日の猫カフェで撮った写真。」


「見せて!」


「うん。」


こむぎがスマホを見せる。


「わぁ! かわいい!」


桃華が嬉しそうに画面を見る。


「この子、昨日いた子だよね?」


「うん。覚えてる。」


「こっちは?」


「こっちは……たぶん昨日寝てた子。」


「たぶんなんだ。」


「猫って似てる子もいるから……。」


こむぎが少し困ったように笑う。


「でも、昨日は本当に楽しかったなぁ。」


「うん!」


桃華も頷く。


「私、あんなに猫と遊んだの初めてかも。」


「私も。」


こむぎは写真を一枚ずつ見ていく。


「この子、最初は全然こっち見てくれなかったのに、最後は近くまで来てくれたんだよね。」


「そうそう!」


桃華が笑う。


「こむぎ、ずっと嬉しそうだったもん。」


「だって、猫が近くに来てくれるのって嬉しいよ。」


こむぎは少し照れたように笑った。


「また行きたいなぁ。」


「じゃあ、また行こうよ!」


「うん。」


こむぎが頷く。


「今度はもっと長くいたいかも。」


「分かる!」


桃華も楽しそうに笑う。


「でも、遥斗先輩が猫好きだったのは意外だったなぁ。」


「そう?」


「うん。なんか、あんなに猫の話するとは思わなかった。」


「私も最初はびっくりしたけど……。」


こむぎは昨日のことを思い出す。


猫を見つけるたびに嬉しそうにしていた遥斗。


写真を撮る時も楽しそうに笑っていた。


「でも、すごく楽しそうだったよね。」


「うん。」


桃華が頷く。


「猫のことになると、いつもよりもっと元気だった気がする。」


「確かに。」


こむぎも笑う。


「また行けるといいな。」


その時、スマホが小さく震えた。


「ん?」


こむぎが画面を見る。


新しいメッセージが届いていた。


送り主は、昨日交換したばかりの遥斗だった。


『昨日の猫、やっぱり可愛かったな。また行きたい!』


短いメッセージ。


それを見て、こむぎは少し笑った。


「どうしたの?」


桃華が聞く。


「遥斗先輩から。」


「なんて?」


「昨日の猫、また見たいって。」


「やっぱり!」


桃華が笑う。


「じゃあ、また猫カフェ行けるかもね。」


「うん。」


こむぎは返信を考える。


少し迷ってから、文字を打つ。


『私もまた行きたいです。』


送信。


「送った?」


「うん。」


「返事くるかな?」


「どうだろう。」


二人でスマホの画面を見る。


しばらくすると、また通知が届いた。


『じゃあ、また今度行こう!』


「早っ!」


桃華が笑う。


「すぐ返ってきたね。」


「うん。」


こむぎも思わず笑ってしまう。


「楽しみだなぁ。」


昨日までなら、ただの休日の予定だった。


でも今は、また猫たちに会えると思うだけで少し嬉しい。


「こむぎ、そろそろ帰ろうか。」


「うん。」


二人は荷物を持って教室を出る。


廊下には、帰る生徒たちの声が響いていた。


窓から差し込む夕方の光が、床をオレンジ色に染めている。


「昨日は猫カフェ。」


桃華が歩きながら言う。


「今日は学校。」


「うん。」


「なんか、夏休みが終わったって感じするね。」


こむぎは少し考える。


「そうかも。」


夏休みの間は、祭りに行ったり、部活があったり。


普段とは少し違う毎日が続いていた。


それが終わって、今日からまたいつもの学校生活。


「でも、楽しかったな。」


こむぎが呟く。


「うん!」


桃華が笑う。


「夏休み、いろいろあったもんね。」


「そうだね。」


こむぎも笑う。


二人はそのまま昇降口へ向かう。


外へ出ると、まだ少し暑さの残る風が吹いていた。


「明日も部活だね。」


「うん。」


「またみんなに会えるね。」


「そうだね。」


こむぎは空を見上げる。


夏の空は、少しずつ夕焼けに染まっていた。


昨日の猫たち。


祭りの思い出。


そして、これから始まる新しい日常。


夏休みが終わっても、まだまだ楽しいことは残っている。


「帰ろう、こむぎ。」


「うん!」


二人は並んで歩き出す。


その後ろで、学校の校舎が夕日に照らされていた。


そして――。


夏休みの終わりとともに、次の出来事が近づいていた。

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