第122話 突然のお誘い
放課後。
昨日から始まった学校生活にも少しずつ慣れ、こむぎは桃華と一緒に体育館へ向かっていた。
「今日も部活だね。」
「うん!」
桃華が元気よく答える。
「昨日は久しぶりだったから、なんか新鮮だったけど。」
「今日はもう普通って感じするね。」
こむぎが笑う。
体育館へ入ると、すでに何人かの部員が準備を始めていた。
「お疲れさまです!」
「お疲れ。」
湊が声をかける。
「今日は昨日より少し長めにやるぞ。」
「はい!」
こむぎと桃華は荷物を置き、マネージャーの準備を始める。
ボトルを並べ、タオルを用意する。
体育館には、ボールが床に弾む音や部員たちの声が響いていた。
「一年生、アップから!」
「はい!」
湊の声に合わせて、練習が始まる。
こむぎはコートの様子を見ながら、必要なものを準備していく。
しばらくして、休憩時間。
「暑いね……。」
桃華がタオルで汗を拭く。
「うん。」
こむぎも頷く。
「水分ちゃんと取ってね。」
「こむぎもね。」
「分かってるよ。」
二人で笑う。
そのときだった。
「こむぎ。」
後ろから声がした。
「はい?」
振り返ると、遥斗が立っていた。
「ちょっといい?」
「はい。」
こむぎは立ち上がる。
遥斗は体育館の端へ歩いていく。
こむぎもその後ろをついていった。
「どうしました?」
「いや、大したことじゃないんだけど。」
遥斗が少し考えるように言う。
「こむぎって、猫好きだよね?」
「はい!」
こむぎはすぐに答えた。
「猫、好きです。」
「やっぱり?」
遥斗が笑う。
「じゃあさ。」
少し間を置いて、遥斗が言った。
「今度の休日、猫カフェ行かない?」
「……え?」
こむぎの目が丸くなる。
「猫カフェ、ですか?」
「うん。」
遥斗が頷く。
「俺、猫好きだからさ。一人で行くより誰かと行った方が楽しそうだなって思って。」
「……。」
こむぎは少し考える。
猫カフェ。
たくさんの猫。
考えただけで楽しそうだった。
「……行きたいです!」
こむぎの顔がぱっと明るくなる。
「ほんと?」
「はい!」
「よかった。」
遥斗も嬉しそうに笑う。
「じゃあ、休日で大丈夫?」
「大丈夫です!」
「何時くらいがいい?」
「うーん……。」
こむぎは少し考える。
「お昼くらいがいいです。」
「分かった。」
遥斗が頷く。
「じゃあ、昼くらいに駅で待ち合わせにしようか。」
「はい!」
こむぎは嬉しそうに頷く。
「楽しみです!」
「俺も楽しみ。」
遥斗が笑う。
「じゃあ、そろそろ戻ろうか。」
「はい!」
二人が体育館の中央へ戻る。
桃華がすぐにこむぎへ近づいてきた。
「どうしたの?」
「遥斗先輩と猫カフェ行くことになった!」
「えっ、猫カフェ?」
桃華の顔が明るくなる。
「いいじゃん!」
「うん!」
こむぎも笑う。
「休日に行くんだ。」
「そう!」
「楽しそうだね。」
「絶対楽しいよ!」
こむぎは嬉しそうに頷いた。
少し離れたところでは、遥斗が練習へ戻る準備をしている。
「遥斗、何話してたんだ?」
湊が声をかける。
「今度、猫カフェ行く約束した。」
「猫カフェ?」
「うん。」
遥斗が笑う。
「俺、猫好きだから。」
「そうだったな。」
湊も頷く。
「じゃあ、練習戻るぞ。」
「おう。」
二人もコートへ戻っていった。
「こむぎ、そろそろ練習再開するよ。」
桃華が声をかける。
「あ、うん!」
こむぎも準備に戻る。
その後の練習もいつも通り進んでいった。
「ナイス!」
「もう一回!」
部員たちの声が体育館に響く。
こむぎは必要なものを渡しながら、コートを見守る。
ふと、猫カフェのことを思い出す。
たくさんの猫。
どんな子がいるんだろう。
触れるかな。
一緒に遊べるかな。
考えているうちに、自然と笑顔になる。
「こむぎ?」
桃華が声をかける。
「ん?」
「なんか嬉しそう。」
「だって、猫カフェ楽しみなんだもん!」
「そっか。」
桃華も笑う。
「いっぱい猫いるといいね。」
「うん!」
こむぎは元気よく頷いた。
やがて練習が終わる。
「ありがとうございました!」
全員で挨拶をして、片付けが始まった。
こむぎはボトルを集めながら、もう一度だけ猫カフェのことを考える。
夏休みが終わったばかりの学校生活。
その中で、少し楽しみな予定が一つ増えた。
「早く休日にならないかなぁ。」
こむぎは小さく呟いた。
桃華が隣で笑う。
「楽しみだね。」
「うん!」
二人は話しながら、体育館を片付けていった。




