第12話 練習
「次、暁月・朝倉ペア!」
先生に名前を呼ばれ、こむぎと凜空はスタートラインへ向かった。
「緊張する?」
凜空が笑顔で聞く。
「ちょっとだけ……。」
こむぎは照れくさそうに笑う。
「大丈夫。練習だから気楽にいこう!」
「うん!」
二人は足を結び直し、スタートラインに並んだ。
「練習だからな! 転ばないことより、息を合わせることを意識しろ!」
先生の声に、二人はうなずく。
「位置について。」
こむぎは小さく深呼吸をした。
(落ち着いて……。)
「よーい……。」
パンッ!
スタートの合図と同時に、二人は走り出す。
「いち、に!」
「いち、に!」
凜空の掛け声に合わせ、こむぎもリズムよく足を運ぶ。
最初から息はぴったりだった。
「その調子!」
桃華の応援が聞こえる。
「こむぎちゃーん! 凜空様ー! 頑張れー!」
二人は前だけを見つめる。
「いち、に!」
「いち、に!」
歩幅もリズムもそろい、ぐんぐんスピードが上がっていく。
「速っ!」
近くで見ていた男子が思わず声を上げた。
「初めてとは思えない!」
女子たちも驚いた様子で見つめている。
そして――
ゴール!
二人は勢いよくゴールラインを越えた。
先生はストップウォッチを見つめる。
「……9.4秒!」
「おぉー!」
グラウンドに歓声が響く。
「練習で9秒台!?」
「すごい!」
「めっちゃ息合ってたじゃん!」
桃華は嬉しそうに駆け寄ってきた。
「こむぎちゃん! 凜空様! すごーい!」
「やったね!」
凜空が笑う。
こむぎも自然と笑顔になった。
「うん!」
先生は満足そうにうなずく。
「初めてにしてはかなりいい記録だ。本番までにもっと息を合わせれば、さらに速くなるぞ。」
「はい!」
二人は元気よく返事をした。
「本番もこの調子で頑張ろう!」
凜空がそう言うと、こむぎは大きくうなずく。
「うん! 一緒に頑張ろう!」
二人は笑顔を交わした。
その様子を少し離れた場所から見ていた悠真は、何も言わず静かに視線を向けていた。
「……。」
先生の笛が鳴る。
「次のペア、準備!」
体育の授業は、まだ続いていく。




