第103話 浴衣選び
夏祭りまで、あと二日。
今日は、こむぎと桃華が浴衣を選びに行く日だった。
「楽しみだなぁ。」
こむぎは鏡の前で、自分の髪を整える。
浴衣。
今まで着たことがない服。
どんな感じになるのか、少しだけ緊張していた。
「こむぎー!」
部屋の外から桃華の声が聞こえる。
「準備できた?」
「できたよ!」
こむぎが扉を開ける。
「じゃあ行こう!」
桃華はいつも通りの笑顔だった。
二人は寮を出て、近くの店へ向かう。
――
店に入ると、たくさんの浴衣が並んでいた。
「わぁ……!」
こむぎの目が輝く。
「いっぱいある!」
「ね!」
桃華も楽しそうに見る。
「どれにするか迷っちゃうね!」
こむぎは並んだ浴衣を見ながら悩む。
色も柄もたくさんある。
「うーん……。」
すると、桃華が一着の浴衣を手に取った。
「こむぎ!」
「これ!」
そこにあったのは、淡い水色の浴衣だった。
「水色……。」
こむぎはじっと見る。
「こむぎの耳とか髪のメッシュにも合いそう!」
桃華が笑う。
「絶対似合うと思う!」
「そうかな?」
こむぎは少し照れながら浴衣を見る。
「……うん。」
鏡の前で合わせてみる。
「似合ってる!」
桃華が嬉しそうに言った。
こむぎも鏡を見る。
普段とは少し違う自分。
「……なんか、不思議。」
「でも、いいかも。」
「でしょ!」
桃華は満足そうに笑った。
――
その後。
桃華も浴衣を選ぶ。
「桃華は……。」
こむぎが一着を手に取る。
「これ!」
ピンク色の浴衣。
「桃華っぽい!」
「本当?」
桃華は笑顔になる。
鏡の前で合わせる。
「……うん。」
こむぎは頷く。
「すごく似合ってる!」
「ありがとう!」
二人は顔を見合わせる。
「当日楽しみだね!」
「うん!」
――
その日の夜。
四人のグループチャット。
『浴衣決まった!』
桃華からメッセージが届く。
『お、早いな!』
璃空が返す。
『どんな感じ?』
『当日のお楽しみ!』
桃華が返す。
『楽しみにしとく!』
璃空は笑いながらスマホを見る。
(水色……か。)
こむぎの浴衣を少し想像する。
「……。」
また少しだけ、考え込む。
「……何考えてるんだ俺。」
小さくつぶやいて、スマホを置いた。
そして。
夏祭りまで、あと二日。
四人の特別な時間が、少しずつ近づいていた。




