表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

76/236

第76話 「お姉ちゃま大好き」

 視察から戻った翌朝、朝食の支度を整えたフィオレが、兎耳をぴこんと立てて封書を差し出してきた。



「お嬢様、昨日のうちにお父様から届いていました。お渡しするのを忘れていて」



 受け取ると、父の筆跡だった。副木の左腕では封を切れない。フィオレに頼んで開けてもらい、卓に広げた。薬草の処方の覚え書きに、母の短い手紙が添えられていた。


 その間に、小さな紙が一枚挟まっていた。拙い字だった。



 ところどころ鏡文字になっている。『お姉ちゃま、ばあばのおうちの薬草園、お母様の薬草園よりちいさいけど、お花がいっぱい。早く帰ってきてね。お姉ちゃま大好き』



 紙の下半分に絵が描いてあった。緑の丸がたくさん並んでいるのが薬草園らしい。


 その横に、金色の棒が一本。ノエルだ。隣に銀色の棒がもう一本。



 お姉ちゃま。足元に黒い丸が一つ。



 ノクス様。三人が並んでいる。



 手が震えた。紙の端が波打った。


 六歳の指で描かれた線は太くて、力が入りすぎていて、はみ出している。


 胸元に仕舞った。布越しに紙の角が肌に当たった。


お読みいただき、ありがとうございました。

この物語を見届けたいと思ってくださったら、ブックマークと★で、そっと背を押していただけると嬉しいです。毎日更新しています。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ