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第152話 砕けた杖
目を開けたら、天幕の布地が揺れていた。風の匂いがする。焚き火の煙と、薬草の湿布の匂い。体が重い。
指一本動かすのに、全身の力がいる。
「四日目にございます」
ヴィオラの声だった。天幕の入口に座って、膝の上に神話典を開いている。
肋骨を庇う姿勢が痛々しいが、目の色は落ち着いていた。
「四日」
「焼け野原の端に天幕を張りました。街までお運びするには、リーラ嬢のお身体が心配でしたので」
ポケットの中で、子猫のノクスが寝息を立てていた。四日間ずっとそこにいたのだろう。私の体を温め続けていてくれた。
起き上がろうとして、腕が震えた。ヴィオラが黙って肩を支えてくれた。折れた肋骨で、私を支えている。
「無理はなさらず。あと数日、ここで休みましょう」
焼け野原の向こうに、硝子の平原が広がっていた。虹色の光が地平線まで続いている。
私たちが作った荒野だった。
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