14/45
第14話 祭壇
郊外の森に入ると、空気が変わった。石畳が苔に覆われている。古い。レガリア期以前の積層舗装。表面の石が均一ではなく、下層に別の時代の石が見えている。
街道から外れた瞬間に文明の匂いが消えた。
「リーラさん、この石畳すげえっすね。うちの親父が昔言ってたんすけど、この辺の石は鍛冶に使うと火の通りが」
「トール、声を落とせ」
カイルが前を歩きながら言った。トールが口を閉じた。
木々の間を抜けると、祭壇の入口が見えた。苔むした石造りのアーチ。壁面に刻まれた文字が半分削れている。
この様式。
足が止まった。刻印の配列。石の組み方。文字の間隔。全部、見覚えがある。
私が組んだ式そのものではない。
でも、同時代の、同じ流派の仕事だった。
現代人には組めない。
「先客がいたな」
カイルが地面を見ていた。私もその視線を追って、足元に目を落とした。
足跡が一つ。大人の男のもの。重い。ブーツの踵が深く刻まれている。
「最近だ。昨日か今日だ」
カイルが低く言った。
祭壇の入口に立った。奥は暗い。松明の光が届かない奥行きがある。
お読みいただき、ありがとうございました。
この物語を見届けたいと思ってくださったら、ブックマークと★で、そっと背を押していただけると嬉しいです。毎日更新しています。




