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3話「スライムの魔石の換金」

「ふぅ〜」


 マジで疲れた。バイトでやっている労働の比じゃないくらい疲れている。


 なんだろう、死と隣り合わせに感じたというか、スライムが攻撃して来た時は結構怖かった。バイトで鍛えた反射神経が生きて良かったと安堵している。


 スライムが落としたであろう小指の爪サイズの石を手に取ると、


【スライムの魔石(極小)×1】


 文字が表示された。


 これがさっき言ってた(?)魔石か。これを換金出来るって言ってたな(?)。


 スライムの魔石を皮袋に入れる。


 地図を見ると敵マークである赤点が2、3個ばかり増えているのに気が付いた。


 さすがにこれを倒すとなると絶対疲れて明日の学校に響くと思うが、これがまた帰り道にいるので倒すことが余儀なくされているのだ。仕方ないので諦めて倒す方を選択しよう。


 一番近い敵マークの近くまで行き確認をすると、またスライム1体がプルプルと揺らいでいた。


 残りの2体も別々の位置に居る為、2体同時に相手にすることはなさそうなので今の目の前の1体に集中することにする。


 鉄棒を構え、最初のような戦い方を行う。


 鉄棒でボコスカと殴りつつ、ある程度の距離を保つ。これで仮に攻撃して来たとしても安心して避けることが出来ると思ったからだ。


 そもそも俺はモンスターと戦うこと自体初めてで、初心者が簡単に倒せるようなものじゃないのだ。それはファンタジー世界でも言えること。最初自分でも言ってたことを危うく忘れるところだった。


 しばらく殴っていると、スライムは生き絶えたのか消滅し、極小の魔石が地面に落ちていた。


 手に取ると、


【スライムの魔石(極小)×1】


 やはり違いは無いらしい。


 この調子で俺は残り2体も倒そうと思って地図を見たら、1体しか表示されて居なかった。少し探してみたもののどこかへ消えたらしく、結局1体だけ倒し、合計3体のスライムを倒して、魔石×3個を手に入れた。


 地下ダンジョン1階層の出入り口のドアへと戻り、こじ開ける。スライムを倒した後だからか疲労感が半端じゃなく、ドアを開けるのでさえ一苦労だ。


【魔石を日本円に換金されますか?】


 戻ると目の前に現れた文字には、換金という文字が含まれていた。


 日本円に換金とのことで、少しだけワクワクした気持ちがある。


【YES】


 圧倒的なYESの気持ちで選択をし、目の前の文字は換金モード?に入ったのか窓口のようなものが現れた。


 なんで換金モード?って言ったかというと、目の前にある窓口は市役所とかで見るような窓口とは違い、トレーがそこに浮いているだけなのだ。多分ここに魔石を置くのだが、本当に大丈夫なのか?


 しかし、換金せずに魔石を持っていくのも最初の目的と違ってくると思うから、心配はするもののトレーの上にスライムの魔石(極小)×3を置く。


【スライムの魔石(極小)×3を日本円へ換金します。換金完了。300円となります】


 うん。めっちゃ微妙だ。アレだけ頑張って300円にしかならないなんて……いや、でもどうなんだろうか。


 地下ダンジョンに潜ったのは時刻12時30分でそこから45分しか立っておらず、13時15分だ。


 いや、少なすぎるような。


 そもそも俺がバイトしてるとこの時給もそこまで高くないし、あんまり子どもを受け入れるところじゃないから無理言ってバイトさせてもらってるのもある。家から近いし。ただ時給が低いのだ。


 だから、バイトをそのまま続けるのとスライムを倒すのを考えると……スライムを倒し続けた方がお金になる気がする。


 貯金も一応貯めてはあるからしばらくバイトが出来なくてもってので、とりあえずバイトをしばらく休んで地下ダンジョンに集中しようかな。


 1週間じゃそこまで良い結果出なさそうだから、と言っても1ヶ月はなんか違う。困った。


 しばらく悩み続けること数十分。結局バイトの時給も低いので1ヶ月は地下ダンジョンで魔石換金を続けるという答えに至った。


 また1ヶ月も休むとなるとバイトの方に迷惑をかけることになると思うので、ここは思い切ってやめることにする。


 ダメだったらまた別のとこにバイトしに行けば良いし、どうにかなるだろう。どうにかするしかないけど。


 そうと決まれば時間いっぱいスライムを倒すと決め、俺はまた地下ダンジョン1階層へ潜ることにした。


   ◇


 あれから数時間が経ち、俺はスライムを300体ほど倒していた。どうしてこんなに数が伸びてるのかと言うと、スライムを効率的に倒せる方法を見出したからだ。


 スライムの見た目がそもそも水っぽく感じたので、理科でも習う水を気化する方法を試した。


 ただ家である材料じゃ本格的なものを試すのは不可能だし、スライムを入れるほどのバケツなどは無い。そもそも入れるまでに攻撃されて俺が死ぬパターンだってある。


 その為俺は鉄棒の先っぽを火で炙り、温度を上げ、その先っぽをスライムに突き刺すという方法を試した。


 まあ参考例として、以下の通りだ。


 温度に応じて気体分子の運動エネルギーが変わるが、水は水素結合があるために常温では液体になるのだ。


 液体の水の表面に熱エネルギーなどが加わることで、液体の水が蒸発して気体になることが出来る。


 まあ、本当に本格的なことは出来ないので、温度の高い鉄棒をスライムに何度も突き刺して攻撃した、それだけだ。


 結果として言えば、成功した。


 突き刺すことでスライムの体からはボコボコという音を立てながら蒸発して気化、消滅に至った。そして魔石を簡単に手に入ることが可能になり、現在300個ほど集めている。


 これだけでもう3万円稼いでいることになるが、まだ戻るには早いのでもう少しだけスライムを倒すことにした。


 それとなんだが、1階層にはスライムしか存在しておらず、2階層へ行くにはボス部屋のようなところを通らなければならないらしい。


 ボス部屋と言うからにはスライムよりも強敵がいると思われ、1階層だけで十分だという考えに至った。


 また一度に発生するスライムの数は50体ほどで1階層自体も結構広い。それと倒されたスライムの後に復活するスライムーーリスポーンだけど、よく分からなかった。


 感覚的に言うと倒されたらすぐに復活してるような気もする。


 そこからまた数時間スライムを倒し続け、気が付くと時刻は19時になっており、夜飯を食べることを忘れてしまってたらしい。


 途中から数を数えるのを忘れていたが、ホーム(地下ダンジョンの入り口)に戻って換金してみたらスライムの魔石の数が700個もあった。うん、やり過ぎだ。


【7万円となります。銀行口座へ振り込みました】


「は?」


 値段にびっくりしたわけではなく、銀行口座に振り込まれることに驚いてしまった。


 接待とか何もしていなかったのに自動で銀行口座に振り込んでくれるのは助かるけど、急に増えて大丈夫なんだろうか?


 そんな疑問は置いとき、今日の結果について話そう。


 日々バイトに明け暮れるのと、地下ダンジョンでスライムを倒すの、どちらの方が効率的にお金を稼ぎ学業にも励むことが可能かと言うと、地下ダンジョンでスライムを倒した方がめっちゃ効率が良い。


 バイトを数時間やっても7万円を稼ぐことはほぼ不可能だと思う。そもそも時給が低いから。


 それに比べてスライム1体につき魔石(極小)を1個落とす。それを100個も集めれば1万円になる。


 時給換算で考えるとなると、自分のペースでスライムを倒せるので楽だろうが、1時間でどのくらい倒せるのかは分からない。


 今日だって楽しくて時間を忘れて7時間地下ダンジョンに潜っていたわけだし。


 とりあえず明日は1時間で何体のスライムと出会うことが可能かを検証するところからだろう。倒すのも含めて。


 ひとまず疲れた身体を癒したいのでお風呂に入ろうと思い、地下ダンジョンのホームを後にするのだった。

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