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35週目.魔王軍戦の準備

数日間の訓練のおかげで、タカとシゲの戦闘力がだいぶ上がった。


タカはバットで魔法を跳ね返すことができ、魔法が発動された場所に的確に跳ね返していた。

身体能力もエクストラスキルのおかげで上がっているみたいだ。


シゲは剣術のセンスがとてもいい。

剣術が得意じゃないゴフェルを相手に勝ち越すことが増えたのは成長だ。


妖人族の戦士達もだいぶ成長をしていた。

妖人族の長イヅクは俺と1対1で戦える強さだ。

イヅクのエクストラスキルは『大旋風使い』と言って、俺の高威力の風魔法と同じくらいの威力の攻撃をバンバン放ってくる。

俺が負けることはないからゴフェルよりは少し弱いくらいだろう。


ツルギを慕っている若い妖人族達も、ユイとの訓練で中々成長したみたいだ。



「これで肆の島の防衛は安心だな」

「そうだな。当日、肆の島の防衛が問題無さそうならヤディに頼んで伍の島でも防衛しようと思う」

「それは助かる。話を聞いている感じ、伍の島に攻め込んでくる戦力の方が多いと思うんだよな」

「私もそう思う。だからコータ達に任せている」

「まあ頑張るよ」

ゴフェルが信頼してくれているのが凄く伝わった。

普通に少し嬉しかった。


「ヤディ、魔王軍はどうなっている?」

「えー嫉妬と色欲の兵士が集まりました。数日以内には海を渡り始めるはずです」

「そうか」

「ドーザ様にはいつでも連絡が付くようになっています」

「わかった」

「それと…」

ヤディの声色が少し暗くなった。


「鬼人族は100人を超えています。あとおそらく妖人族と虫人族だと思われる種族も数十人居ました」

「なるほど…。出来るだけ安全に保護したい」

「そうだな…」

敵を怪我させずに制圧するのは中々厳しい。

ユイとソンブラとやり方を相談しよう。



▽ ▽ ▽



数日後、ヤディから情報が入る。

魔王軍が本島を出航した。


朗報はこちらに向かっているのは船10隻のみ。

そして魔王の姿は無し。

兵士と奴隷のみの進軍だ。


「ドーザ様にはもうお伝えしました。水龍や海龍の加護を取得している方が数名で対応するそうです」

「わかった。戦況がわかったらまた教えてくれ」

「はい。わかりました」

ゴフェルは黙っていた。


「デルザムンドはどうするつもりだ…」

「うーん。来ないつもりか?」

「いや、これだけ兵を出すということは私と完全に敵対するつもりだ。それは龍人族と敵対するのと同義。こんなにわかりやすく進軍するんだから必ず来るはずだ」

ゴフェルは色々考えている。


「ヤディ、魔王の情報も探ってくれ」

「わかりました」

ゴフェルは魔王の意図がわからなくて少し動揺しているようだ。



数時間が経ち、再びヤディから連絡が入る。


「船は龍人族の方々のおかげで、本島に引き返しました」

「おお。すごいな」

「それで魔王軍の次の動きは?」

「再び進軍するために態勢を整えています。それと魔王が動き出しました」

「わかった」

ゴフェルの顔は険しくなる。


「コータ、これ以上の足止めは無理だと思ってくれ」

「問題ない。これで戦闘はちょうど石の日くらいになるだろう」

「そうだな。ヤディ、龍人族に撤退と連絡を入れてくれ」

「わかりました」

そういうとヤディの気配が消えた。



▽ ▽ ▽



「コータさん」

「ん?どうした?」

若い妖人族達に魔法を教えてほしいと言われたので教えていると、タカとシゲがやってきた。


「俺らにも教えてけ!」

「うん。いいよ」

タカとシゲも妖人族達と一緒に魔法でお手玉を始める。


「タカとシゲがこっちに来た鳥居?は全然動く気配ないの?」

「毎日確認しに行ってるけども、動きそうにねえが」

「うーん。本当にどういう仕組み何だろうね」


タカとシゲはちゃんと元の世界に帰してあげたい。

俺も異世界と繋がった鳥居を見に行ったが、魔力を注いでも動かなかった。

再び起動するのを待つことしかできなかった。


魔法でお手玉をしながら2人と話す。


今日、2人はモンスターとも戦ったみたいだ。

訓練ついでにサハギンというモンスターの上位種とも戦ったらしいが、問題なく倒せたらしい。

肆の島には小さなダンジョンがあるらしく、明日はそれに挑戦すると意気込んでいた。



「そういえば2人は元の世界に帰りたいんだよね?」

「うーん」

「……」

2人は悩んだ。


タカが口を開く。

「要らん以上長くおったらダメな気がする…。ここに来れたんにはなんか理由があっ気がするが」

「この世界に来た理由ね」

「戦いが終わったら、さっさと帰るが。弟分ら守らなきゃなんねえし」

タカが予想以上に考えていたことに驚いた。


タカは必要以上にこの世界にいたらダメだと思っている。

何か感覚的に使命や理由があると感じているみたいだ。


俺はマサシやコングを見ているから、この世界に残っても良いと思う。

物凄い覚悟はいるが、そういう選択もありだなと軽く考えている。


「シゲは?」

「……なんか色々考えることがあっが。タカほどではねえが」


シゲは感覚派なタカとは真逆の様だ。

理由が欲しいタイプなのだろう。

この集落にいる間も、シゲが色々考えている姿をよく見た。


俺みたいなのが下手にアドバイスみたいなのを言わない方がいいだろう。

自分でゆっくりと答えを見つけるはずだ。


俺は2人と話しながら、魔法の訓練を続けた。



▽ ▽ ▽



木の日になった。


俺とユイとソンブラは伍の島に来ていた。

伍の島は草原や森がメインの島。

地形で戦いにくくなることはないだろう。


「ユイ、木材を用意しよう。仮の家を作るよ」

「わかったー。ソンブラ、行こう!」

コンコーン!


ユイはソンブラを連れて森に入っていった。


「コータ様」

「ん?誰?」

「今回コータ様の担当になった影人族のユナダラと申します」

俺の影から若い男性の声がした。


「よろしく。なんか伝えることある?」

「今は特にありませんが、魔王軍が上陸する可能性がある場所をお伝えしておきますか?」

「それは助かるな。教えてくれ」

「ご案内します」

俺はユナダラと共に上陸可能な場所を見に行った。



船を停めて上陸できそうな場所は1か所だけ。

本島側にあるから、ここから攻めてくるはずだ。


「ドーザも伍の島の担当だよね?」

「そうですね」

「俺とユイとソンブラとドーザ。それとユーサクか」

「そうですね」

人数的に少し不安だったが、どうにかなるだろう。



「コータ様!!!」

「ん?どうしたの?」

ユナダラが声をあげる。


「魔王軍が進軍を始めました。物凄い速さです」

「え?」

「突風が吹き荒れ、船が風を動力に進んでいます」

「到着予定は?」

「えー。明日の昼には上陸可能な距離に着きそうとのことです」

「わかった」

俺は魔王軍を迎え撃つ準備をした。



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