35週目.タケノコづくし
俺は夜中に食材を買いに来ている。
あと数分で金曜日になる。
今さっきコータからメッセージが来ていた。
[まだ魔王軍とは戦いにならなそう、ダンジョンに行けることになったからそのつもりで!飯は2人分かな?]
大きな戦いが起きると思ってたから、大量の豚肉を買ってしまっていた。
これは冷凍して来週使おう。
明日用の食材を買いに深夜もやっているスーパーに来たがメニューが決まっていない。
スマホで検索しているが、中々いい感じのものがない。
「うーん。どうするかな…」
スーパーの中を歩いていると、積まれているタケノコを見つけた。
「旬もそろそろ終わるし、タケノコご飯とかありだな」
俺はタケノコ料理のレシピを検索した。
▽ ▽ ▽
俺とユイとソンブラはヤディに連れられて、サイルバルタンが管理している島に来ている。
サイルバルタンはものすごく成長していて、筋肉質で身体の大きいおっさんケルベロスのようになっていた。
それにお付きで来たアビールさんは老体になっていた。
もう現役は引退したらしい。
「こんなところにダンジョンが…」
「らしいぞ」
サイルバルタンとアビールは驚いていた。
ヤディが言うには影人族がたまたま見つけたらしく、サイルバルタンも知らなかったようだ。
「これから何か見つけたら私がお伝えしますので」
「よろしく頼むね」
サイルバルタンの影から女性の声が聞こえた。
「コータさん、この度サイルバルタン様の担当になった影人族のメデルです」
「ああ。宜しく」
サイルバルタン達は影人族の存在を今まで知らなかったらしい。
魔王軍との戦闘があるので、ゴフェルとヤディが相談をして伝えることを決めたみたいだ。
「サイルバルタンは今回の魔王との戦いに参加するのか?」
「魔王が諸島を襲っている間、他の魔王が僕の島に攻めてくる可能性もあるから…。本当はゴフェルさんと一緒に戦いたいけど…」
サイルバルタンは悔しそうに話す。
前に会った時より幹部としてかなり成長したみたいだ。
「コータさん。もうダンジョンに入りますか?」
「あ!ちょっと待ってくれ」
サイルバルタンの話し方は全然変わっていなかった。
言葉も柔らかいし、尻尾を振りながら話してくる。
「ユイ、ユーサクを呼んでくれ」
「うん!」
俺はユイにタブレットを渡した。
ユイがタブレットを操作すると、ユーサクが現れた。
「お?あれ?前に見たことある気が…」
ユーサクは2人の姿を見て呟いた。
「コータさん。この方があの赤い?」
「そうだね」
2人はユーサクに頭を下げた。
「ヴィルダークとの戦いの際は、我々に力を貸してくれてありがとうございました」
「え?あ!あの時の!いやいや、俺はほとんど何もできなかったですが…」
ユーサクは予想外の出来事に動揺していた。
ヴィルダークとの戦いのとき、ユーサクは途中で消えてしまった。
落ち着いた時にはいなくなっていたから、サイルバルタン達はお礼を言いたかったのだろう。
あの時のユーサクは緊急参戦だったから、2人が覚えていないと思ったが意外と覚えられていたみたいだ。
レッドホーミングの姿は簡単に忘れることができないみたいだ。
▽ ▽ ▽
変身をした俺はコータとユイに連れられてダンジョンに入る。
今回の目標はダンジョンボスを倒す事。
そして防御系や回復系の弾を取得したい。
「ユーサク、前衛は俺とユイでやる。出来るだけダメージを食らわない位置にいてくれ」
「わかった」
コータはそう言うとユイとソンブラと共にモンスターに向かって行った。
コータとユイとソンブラの戦闘は凄かった。
強いし連携も凄い。
ダンジョンのモンスターが次々とアイテムになっていった。
俺も少しだがファイアホーミングガンでモンスターを倒したが、2人の5分の1くらいだった。
そして最下層の地下10階層にたどり着いた。
「よーし。順調だったな」
「うん!楽しかった!」
コータとユイは満足そうにしている。
「はぁはぁ。2人共、元気すぎるよ」
俺の身体能力は2倍になっているが、元のステータスが低いせいで付いて行くのにギリギリだった。
「ハハハ!ユーサク、運動はしとけよ」
コータはニヤニヤしながら言った。
「前はしてたんだけどな。なかなか続かず」
「少しずつだな」
「そうだな」
俺が疲れているので、一旦ダンジョンボスの部屋の前で休憩になった。
「じゃあ食事する?」
「休まないでいいのか?」
「『異世界調理』してるときはなぜか疲れないんだよ」
「じゃあ頼もうかな」
「楽しみー!」
「よし。美味しいの作るからな。異世界調理!」
俺は異世界調理を始めた。
大量の下茹でしてあく抜きを終えたタケノコが出てくる。
フライパンが豚肉と野菜とタケノコが炒め始める。
「何を作るんだ?」
「今炒めてるのは豚肉とタケノコの味噌炒め。タケノコご飯はもう炊けてるから、今から土佐煮と天ぷらを作るつもり」
「おー」
「すぐできるから待ってて」
「楽しみにしてるわ」
俺は天ぷらの準備を進める。
ボウルと箸が衣を作り始め、鍋に油が入る。
油は少しずつ温度を上げていく。
「久しぶりに天ぷら作るの楽しみだったんだよ」
俺は昨夜の買い物を終えてから、職人が天ぷらの揚げている動画を何個も見て学んでいた。
▽ ▽ ▽
タケノコ料理が目の前に並べられる。
「ユーサク、これ何?」
「これはタケノコだよ。ユイは食べたことないかな?」
「うーん。わかんない!」
俺は今までの料理を思い出したが、俺が作った奴には入ってない気がする。
シューマイ弁当にもしかしたら入っていたかもしれない。
「美味しいから食べてみて」
「うん!ユーサクの料理はいつも美味しいよ」
笑顔でユイは言う。
ユイは本当に天使だ。
「じゃあいただきます」
「いただきまーす!」
2人はタケノコ料理を食べ始めた。
俺も一緒に食べる。
「おっ!鰹節の香りがふわっとくるな。タケノコも短時間だったのに柔らかいし味が染み込んでる」
タケノコの土佐煮が上手くて箸が進んだ。
「タケノコの天ぷら美味しいよ!サクサク!ご飯も美味しい!!」
「おーそれはよかった」
コンコーン!
ユイとソンブラは天ぷらが好みだったみたいだ。
「ユーサク!美味いぞ!これは酒が欲しくなるな」
「ダンジョン内で飲酒とか危ないだろ」
「これ今度も出してくれ」
「覚えてたらな」
コータにも喜んでもらえたみたいだ。
タケノコご飯は3合炊いたのにしっかり無くなった。
コータとユイとソンブラは本当によく食べる。
「よし。腹もいっぱいになったし、少し休憩したらダンジョンボスを倒すぞ」
「うん」
「楽しみー」
俺達は少し休憩をし、ボス部屋に挑んだ。
▽ ▽ ▽
ボス部屋に入ると巨大なゾウがいた。
俺が知っているゾウの3倍の大きさでトゲトゲした牙を持っている。
そして鼻には釘バットのように棘が何個をついている。
「ゾウじゃん」
「キングスパイクエレファントだって」
コータはタブレットを見ながらそう言った。
ヴオーン!
キングスパイクエレファントは俺達を威嚇する。
「俺とユイが攻めるから、後から攻撃をしてくれ」
「わかった!」
俺はファイアホーミングガンを構える。
バシュン!
バシュン!
バシュン!
弾は当たっているみたいだが、全然ダメージが入っている気がしない。
コータとユイはどんどん攻撃を仕掛ける。
両脚を影で縛り付けるソンブラ。
脚をナイフで削っていくユイ。
魔法で片目を潰したコータ。
俺は3人に負けじと、引き金を引き続ける。
バシュン!
バシュン!
粘着弾で動けなくさせる。
ヴオーン!
キングスパイクエレファントは怒っている。
動けなくなったキングスパイクエレファントを蹂躙するコータとユイ。
「ユーサク!あとは撃ち続けろ!」
「わかった」
俺はがむしゃらに撃ち続けた。
何発も撃ち込み、やっとキングスパイクエレファントを倒せた。
すると目の前にウィンドウが出てきた。
[ダンジョンボス討伐報酬です。取得する弾を選んでください]
【次へ】をタップすると、3つの弾が出てきた。
○発火弾
弾が当たったところが発火する。
○回復弾
当たったものを回復させる弾。
○通常弾の威力上昇Lv1
通常弾の威力が少しだけ上がる。
俺は回復弾を取得した。
「これで少しは貢献できそうだ」
無事にダンジョンを攻略し、俺は[ログアウト]した。
目的の回復弾が手に入れられてよかった。
コータ達に協力してもらって色々試すこともできた。
飛距離は他の弾と変わらない。
当たった人を回復させるが、敵に当たると敵も回復させる。
ソンブラのことも回復できたが古傷などは治せなかった。
俺は元の世界に戻ってすぐに筋トレをした。
本当に本格的に始めないといけない気がした。




