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34週目.影人族からの報せ

カレーを食べていると、ヤディが声を出した。


「ゴフェル様、コータさん。魔王軍に動きがありました」

「え?」

「兵を集めて、この諸島に攻める準備を始めました」

「何!!」

ゴフェルは声を荒げた。


「他の幹部の動きは?」

「嫉妬と色欲は参戦しないようですが、兵士と所持している奴隷を送るそうです」

「なるほど」

ゴフェルは頭を抱える。


「サイルバルタン様は徴兵を拒否。強欲と暴食の2人も自分の自治領の管理で手がいっぱいだと徴兵を拒否しました」

「リディアとルゼが参戦しないのだけが救いだな」

「ん?誰?」

俺は首を傾げる。


「50年前くらいに強欲と暴食のスキルを取得した悪魔族の女性2人だ」

「悪魔族かー」

「悪魔族と言っても、この2人は私と考え方が近いんだ」

「そうなの?」

「ああ。関係は良好だと思っている。これで魔王陣営になっていたら、私の見る目が無かったと落ち込んでいるところだった」

ゴフェルは少し安心したようだった。



「ヤディ、魔王軍はどの島から狙うつもりだ?」

「肆の島か伍の島だと思います」

「だと思います?」

ヤディの煮え切らない言葉にゴフェルは首を傾げる。


「申し訳ありません。魔王城に潜入していた5人の影人族が殺されていて、中途半端な情報しか共有されていないんです」

「は?なぜ影人族が殺された!」

「魔王はあのマジックアイテムを所持していたという情報が入っています。それの犠牲になったようです…」

「そうか…」

ヤディの声色から恐怖心が感じ取れた。


「コータ、防衛について相談したい」

「ああ。問題ない。ところで伍の島で保護してる種族はいるのか?」

「いるのはいるが、最近保護した種族で戦闘は難しい」

「なるほど…」

俺とゴフェルは作戦を相談した。



▽ ▽ ▽



問題なのは3つ。


1つは戦力が全くいない伍の島の防衛。

伍の島が押さえられると、他の島も攻めやすくなってしまう。

ゴフェルの予想だと、伍の島を拠点にするつもりみたいだ。


もう1つは肆の島の防衛。

多くの妖人族が肆の島で暮らしていることは知られたくない。

妖人族が戦闘に参加する場合は、敵を完全に殲滅をしないといけない。


そして最後は、影人族を殺したマジックアイテム。

マジックアイテムで影人族がこれ以上殺されるのは困る。

しかし影人族の力無しでこの戦いで優位に立つのは難しい。


「どうにか戦闘するのを石の日に合わせたい」

「ユーサクか?」

「うん。それに料理で強くなることもできる」

「魔王軍の移動は船か騎乗だ。遅延はできなくもない」

「ゴフェルに任せていいか?」

「ああ。私の息子と孫達に頼むことにする」

「ん?孫?」

まさかゴフェルに孫がいるとは思ってなくて声が出た。


「ああ。出来れば私以外の龍人族は戦闘に参加させたくはないんだ」

「なんでだ?」

「龍人族が派手に力を使えば、魔人領の民が龍人族を危険視する」

「あー。なるほど」

龍人族の強さは、時に恐怖の象徴になるみたいだ。


「龍人族がそこまで力があるなら、魔王が本格的に攻め込んでくるのは悪手じゃないか?」

「龍人族ですら倒す策があるのかもしれない」

ゴフェルは少し考えている。


「影人族もやられた。龍人族に効くマジックアイテムがあるかもしれない」

「そうだな」

俺とゴフェルがそう話していると、ヤディが口を開く。


「特殊なマジックアイテムがあるのかは影人族が情報を手に入れてきます」

「大丈夫なのか?」

「はい。既に数人が本島に移動しています。自分達の弱点と思われるマジックアイテムの存在もしっかり把握しておきたいので」

「わかった」

ゴフェルは頷く。


「肆の島と伍の島にも影人族がいますのでいつでも移動可能です」

「わかった。ヤディ、無理しない程度で魔王軍の監視と嫉妬と色欲の監視を頼む。幹部2人が動き出したら少しめんどくさい」

「わかりました」

「助かる」

返事と同時にヤディの気配が消えた。


「もし肆の島を防衛するなら、タカとシゲを早めに戦闘に慣れさせないと」

「そうだな」

俺とゴフェルは配置を考えた。



▽ ▽ ▽



配置は決まった。

肆の島はゴフェルと戦闘ができる妖人族、それにタカとシゲが防衛に参加する。

伍の島は俺とユイとソンブラ、そして昨日の夜に合流したゴフェルの息子のドーザだ。


影人族の情報によると奴隷の数が多くて、いろんな種族が奴隷兵として集められているらしい。

ゴフェルは奴隷達を解放できるように奴隷契約を解除できるスキルを持つ者を数名呼んでいた。



防衛戦が具体的になったからか、タカとシゲの戦闘訓練への意欲がものすごく高くなった。

若い妖人族の参加も増えて、肆の島の防衛は心配無さそうだ。


問題は石の日じゃないとユーサクが呼べず、戦力が減ってしまう伍の島だ。

敵の数が多いのは平気だが、戦い方が厄介なのが来ないことを願う。



「ゴフェル様、壱の島に来客です」

「来客?」

「はい。強欲のリディア様の使いが来ています」

「リディアが何故?」

ゴフェルは驚いていた。


「どうしますか?」

「今すぐ行こう」

「わかりました」

ゴフェルは影に呑み込まれて消えた。



数分すると、ゴフェルとヤディが帰ってきた。


「なんか問題があったか?」

「いや、リディアは物資を運んできてくれた」

「ん?物資?」

「ああ。自分の力不足で表立って手助けはできないからと運んできてくれた」

「幹部にも良い奴がいるんだな」

「ああ。そうだな」

ゴフェルは何かを考えながら答えた。


「コータ」

「ん?」

「今回、魔王が直接攻めてきた場合、私は魔王を殺すと思う」

「そうか」

俺はゴフェルの考えにどうこう言う権利はない。


「魔王を殺して、新しい魔王と共に魔人領を変えていきたい」

「ゴフェルが魔王にならないのか?」

「私ではダメだ」

「サイルバルタンってことはないか」

「ああ。私はリディアに次の魔王になってもらおうと思う」

「ほー」

ゴフェルとも考えが近い悪魔族。

龍人族や魔獣人族が魔王になるよりかは、民の信頼を得られるとゴフェルは考えているみたいだ。


「そのためにもこの戦いに勝たないといけない」

「まあ俺達もいるし大丈夫だろう」

「そうだな」

ゴフェルと話していると、再びヤディが声を出す。


「ゴフェル様、魔王軍が集めている奴隷の中に鬼人族の奴隷が大量にいます」

「鬼人族か…。龍人族と戦うには十分な戦力だな…」

ゴフェルはめんどくさそうな表情をした。


「鬼人族ってどんな種族だ?」

「魔人領には悪魔族が手を出さない種族が3種族いる。龍人族・巨人族、そして鬼人族だ」

「ってことは強いのか?」

「ああ。魔法はあまりだが近接戦と集団戦がとても強い。奴隷の状態でどこまで出来るかわからないが…」

「なるほど。簡単な戦闘にはならなそうだな」

「ああ。タカやシゲの訓練も厳しくやらないとまずいかもしれない」


ゴフェルはそう言って、訓練しているタカとシゲの元へ向かった。



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