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平成前期・チケ取りバトル!!  作者: 鑑光あみか


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17/20

チケット17枚目 異変

 次のツアーが発表された。

 春はうちの県には来ないが別にそんなことはどうでもいい。こちらが隣県や近隣都市に出向けばいいだけの話だ。自県コンサートは特別なものだが、気楽な近隣県コンサートも充分楽しい。

 春ツアーのスケジュールを見ながらここは近いけど平日だから難しいなとかここは新幹線とかで行かないといけない遠方だけど土日だからいけるなとか、そんなことを思案していた。


 そんななか、衝撃の情報が入る。


 ポップレコードがプレイガイド事業から撤退した。




   ☆☆☆




 私の職場に、ポップレコードに並ぶあの複数買いの専務がぼやきに来た。


「まさかポップレコードがなくなるとは思ってなかったわ」

「ですね。これからどこに並ぶんです?」

「俺の相方はJLに並び続ける予定だけど、俺はコンビニ販売を狙ってみようと思ってる」

「コンビニ……ですか?」


 そのころ電話予約と並行してコンビニエンスストアの券売機による販売が始まりだしていたのだ。しかし海のものとも山のものとも知れぬコンビニ販売。私は訝しげに専務に問う。


「コンビニって全国の、それこそコンサート以外のもいろいろ取り扱ってるんですよね。ちゃんと席の配分あるんですか?」

「いやそれがさ、前回の一列目左。知り合いがそこの席の人たちにどうやって取ったのか聞き込みに行ったんだけど」

「めっちゃ圧かけてますね」


 専務が苦笑いをして言う。


「だよな。でその人たちってコンビニで取ったんだってよ」

「まじで??」


 前回のコンサートの異変。

 プレイガイドとしての実力が県内第二位だったポップレコードが力を落としただけではなかった。チケ取り手段の新たな勢力が現れていたのだ。

 そしてその、ポップレコードの死。


「やべえですね」

「本当やべえわ」

「コンビニだとどんな並びかたになるんでしょう?」

「まだわからないな。とりあえず作戦としては、事前に有名どころのチケット発売が重なってないかを確認して、そしてできるだけ人の来なそうなコンビニに行く。そして誰も機械の前で待ってないところを狙って十時までそこで待つ」

「難易度高い……」

「まあそうでもないんじゃないかな」


 そうは言うが恰幅のいい大人の男が券売機の前で圧をかけつつ立っていたら割り込む勇気のある人は少ないだろうが、私のようなチビの女が立ってても割り込まれる。絶対。九時五十分くらいに『使わないならちょっと使わせて』って人が現れて、そのままずっと居座られる。絶対。


「コンビニでどれほどの席が取れるか今度教えてください」

「おーけーおーけー。まず春の他県のを取ってみるから、それがどうなったか教えるわ」

「よろしくです。私は春は電話予約で取って、秋ここに来ればそれは並ぶと思いますが」

「そっちはそっちで取れた席教えてな」

「はーい」


 結論から言うと、私は時代にアップデートできていなかった。

 私たち徹夜組は、か。

 それを秋に思い知らされることになる。

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