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87話 4章 ~犯人の独白~

 言い訳をさせてもらおうか。


 まず私は蛇見ナギサを殺すつもりはなかった。

 彼に中庭で問い詰められたのだ。


「君が黒幕なんだろ」って。


 その時にもみ合いになり、私は咄嗟に持っていた薬品で眠らせようとした。

 クロロホルムを使ってな。


 漫画やドラマなどのフィクションで見たことがあるだろう。

 私もたまに盗み見していたから知っていた。


 それと同じように持っていたハンカチに薬品を吸収させ、口と鼻を塞いだ。

 だが、容量を間違えて、彼は中毒死してしまった。


 蘇生処置をしたが、駄目だった。

 もはや頭は真っ白だった。


 そんな中、私が思いついたのは、死亡時刻の偽装だ。

 特定のタイミングで落下死したと思わせれば、私のアリバイは作れる。

 幸いながら私の『能力』ならばそれが出来た。


 その後に私は偽の手紙の作成し、カフェテリア、ならびに各部屋に置いた。

 19時に特定の場所にいるように指示するためにな。


 手紙を作成している時に咄嗟に思いついたのが、落下時の場所についてだ。

 すぐに真下をライトで照らされると私が移動しているのがバレる可能性がある。


 あとは兎沢マシロが行った通りだな。上手く行けば入り口まで跳ね返って何食わぬ顔で合流するつもりだった。


 その為に、美術室から大型のキャンバスを持ち出し、蛇見ナギサに立てかけた。

 ・・・・・・今思えば近くの草木に隠すようなこともしていなかったので、誰も中庭に来ていなかったのは幸いだったようだ。・・・・・・いや、幸いと言っていいか今となっては分からないが。

 そういえば、龍崎チハヤだけ体育館に場所を指定したのは、最初のスケープゴートにするためだった。現場を見ていないイコール犯人、という構図を作り上げ、後に、親友だけには自殺をする瞬間を見られたくなかったから、という理由で別の場所にしたのだろう、という論理づけるつもりだった。結果、龍崎チハヤは指示通り動かなかったので意味を成さなかったが。


 意味を成さなかったと言えば、19時ちょうどに見えないだろうと思いつつも黒いフードを被って飛び降りたものの、予想以上にキャンバスに跳ね返りが無かったことだ。

 流石に事前に試すわけにいかなかったのと、私が自分の『能力』について『反発』まで含めた吸収だと勘違いしていたからだ。実際に猫泉コータや蛇見ナギサと意図せずぶつかって『能力』を使った際には反発していたからな。


 流石に少々焦って自分の脚で向かおうとして時、中庭の入口に人影がいるのが見えたので、私は音を立てないように慎重に移動し、その途中で黒いフードを隠した。

 後は合流して検死を適当にするだけだった。


 いや、きちんと検死して伝えておくべきだったか。

 いや、そもそもキャンバスを置く必要が無かったな。

 いや、それよりも、中途半端なフィクションの知識でクロロホルムを使わなければ――


 ・・・・・・全てが中途半端だ。

 計画立てていたわけでも何でも無い。


 全てが行き当たりばったりで作った、ガタガタの犯行。


 これが私が行った、全てだよ。

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