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75話 4章 ~日常編~ - 07

 翌朝。

 いつものように目覚め――とはいかずに、寝覚めが非常に悪かった。


 今日は朝の放送遅いなあ、なんて思いながらしばらくぼーっとしていたが、ふと思い立って扉のドアノブをひねる。

 ガチャリ。


「あ、もう6時過ぎてたのか」


 開いたということは、朝の放送を聞き逃していたと言うことだ。

 今は一体何時なのかを確かめに食堂に向かおうと踏み出した、その時だった。


 くしゃり。


「ん?」


 扉から出たところで何かを踏みつけた。

 封筒だった。


「なんだこれ?」


 場所的にもどうやら扉の下に差し込まれていたようだ。

 封筒を開ける。


 中身は一枚の紙が入っていた。

 そこに書かれていたのは――



『黒幕は男性である』



「・・・・・・は?」 


 まさかこれが黒幕の情報だとでもいうのか。

 あまりにも当たり前のこと過ぎる。


 ・・・・・・いや、待てよ?


 こう書くということは、僕達の中に女性がいるってことか?


 そうだとしたら、中性的な顔立ちをしているマシロくんとユウリくんあたりか? ナギサくんも可能性はあるな。チハヤくんとジンくんはまず間違いなく違うと思うけれど――


「・・・・・・何考えているんだ、僕は」


 途中で考えるのがあほらしくなった。


「大体なんでこんな所に黒幕の情報が落ちているわけなんて・・・・・・いや、待てよ。むしろこの程度の情報がたくさん落ちている可能性があるな・・・・・・」


 宝探しゲーム、という名前から、情報について当たり外れがあるかもしれないということに気がつく。

 こうなると他の情報がどうなるのかも気になってきた。


 現在時刻を確かめるという目的も兼ねて、僕は食堂へと向かった。



              ◆



 食堂の中には誰もいなかった。


 それもそのはずだ。

 現在時刻は8時を越えていた。残っているみんなは普段7時台には朝ご飯を食べ終えていたから、いないことには納得感があった。

 寝過ぎたことに反省をしながら朝食を摂っていると、


「ふわあ・・・・・・あ、コータだー」


「ユウリくん?」


 大あくびをしながら食堂に入ってきた。

 彼はそのままいつもと同じように僕の隣の席に座ると


「あー、クウギョー。ユウリにも朝ご飯ちょうだいー」


「ユウリくんも寝坊?」


「あー、うん。全然寝てないよー」


 そう言いながらユウリくんは、クウギョが運んできた食事にノータイムで手をつける。


「ん? も、ってことはコータは寝坊したの?」


「あー、うん。お恥ずかしながらついさっき起きたんだよね。いつもはこんなことないんだけど」


「だよねー。珍しいなーって思っただけー」


 かくいうユウリくんもルーズそうに見えて、朝食の時間に遅れてくることは珍しい人物だ。


「ねえ、ユウリくんって遠足とか修学旅行とかの前に楽しみで前日に寝られないタイプ?」


「んー、その2つはあんま興味なかったからそうじゃなかったかなー。興味あるもんだったらそうなってたかもー」


 今回はそれに当たったと言うことか。


 ・・・・・・あれ?

 それにしてはテンションが低くないか。  


「そういえば、ユウリくんは部屋の前に何もなかったの?」


「んー? 何かってー?」


「封筒だよ」


「あー、黒幕の情報が書いてあるやつねー」


 ない可能性も考慮していたが、やはり他の人のところにもあったのか。

 だとしたらなんでユウリくんはこんな感じなんだ? いつもならば目を輝かせてすぐさま捜索に行くだろうに。


「あれさー、大したことは書いてないよー」


「どんなことが書いてあったの?」


「んー・・・・・・」


 ユウリくんは少し考えた様子を見せた後、首を横に振った。


「大したことは無くても他の人と交渉できる情報かもしれないからねー。コータでも教えられないかなー」


「・・・・・・そっか」


「ごめんねー」


 それは仕方ない。今は信じられる要素は何にもないのだ。

 他の人から見てみれば、僕が『ネコ』であるということすらも、確定要素ではないから安心できる情報ではないのだ。

 これ以上は言及出来ない。

 少し気まずくなりながら、僕は食事をかき込んで席を立つ。


 と、そこで唐突に思い出した。


「ユウリくんって男性だよね?」


「急に何を言ってくるの?」


 真面目な顔で呆れられてしまった。

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