53話 3章 ~日常編~ -11
トランプ勝負の結果。
「うぅ・・・・・・ユウリ、誕生日なのに・・・・・・」
イルカのパジャマ着ぐるみを着たユウリくんが、唇を尖らせていた。
「いや、それ選んだのユウリくんだから」
「でも当たったのはヒナタじゃん! ずるい!」
「ずるいって何ですか・・・・・・よく似合っていますよ、ユウリさん」
「今度からプレゼントは全部欲しいものにすることっすね」
「くそー。次こそは覚えてろよー!」
ユウリくんがじたばたと暴れるのを見て、僕達は笑い声を上げる。
とても楽しいパーティーだ。
「あ、そういえばユウリくんの手に渡ったプレゼントは何だったの?」
「んー、あーユウリは中身知っているから開けていなかったや。これだよー」
ビリビリと包装を破って取り出してきたのは、それまた箱だった。
しかも、何かの製品のようだ。
「何これ?」
「これねー、リモコンがあれば遠隔で伸び縮みする機械だよー。強力な両面テープで固定できて、大体10センチくらい動くんだってさー」
「へえ。でも遠隔で何に使うの?」
「部屋の電気消すとかじゃないのかなー? 分からんけど、なんか面白そうなのに使えそうかなーって思ったんだー」
「こういうのはなんか発想次第で凄いことも出来そうだよね」
「というか全部絶妙にいるかいらないかのラインを反復横跳びしそうなラインナップっすね」
「むしろここまで絶妙なラインナップを揃えたことが凄いと思います」
「へへ。そうかなー」
「褒めていないと思うよ」
そんなこんなしている間に、楽しい時はあっという間に過ぎ
いつの間にやら晩ご飯の時刻まであと30分になっていた
「やばい。楽しみすぎて時間を忘れていたっす」
「だねー。あっという間だったねー」
「みんなが来る前に片付けましょう」
急いで飾り付けとか着ぐるみとかを片付ける。因みにゴミは、置き場などはないのでクウギョに渡す必要があるので、クウギョも片付けには奔走していた。クウギョは浮いているので実際に走ってはいないのだが。
それ故なのか、片付けには予想以上に時間が掛かり、結果、19時のアナウンスまでに一部の料理の片付けまで手が回らなかった。
「お、なんだこりゃ。料理がいつもより多いじゃねえか」
入ってきたのはチハヤくんだった。
彼は僕達の面々を見るに、すぐに察したようで、
「あー、なんかパーティーするって言ってたな、そういや」
「そうだよー。楽しかったー」
「あん? なんだその格好?」
「・・・・・・ユウリも不満だよー」
唇を尖らせるユウリくんに「へっ。そうかよ」と笑い飛ばしながら、チハヤくんはクッキーを摘まんで食べる。
「あー! ユウリのなのに!」
「はん。惜しかったら全部食べておくべきだったな。特に甘いもんとかはな」
「ふむ。確かにほどよい甘さは必要だな、龍崎チハヤ」
「こういうのカフェテリアにありませんからね」
「え? ないんだ、マシロクン」
次々とやってきては残されたお菓子を摘まんでいく。
結局、全員が食堂に時間通りに集まり、同じように食事をとっていく。
――今回はお菓子のデザート付きで。
そんな中で、いつものように情報共有を行う。
特に新しいことはなかったので、食事が終わり次第、みんな部屋を去って行く。
そんな中、サスケくんが僕達に声を掛けてきた。
「あ、ヒナタっち、ユウリっち、コータっちは残ってくださいっす」
「んー?」
「ああ、片付け残っているしね」
「分かりました」
言われた通り、みんなが退室するまで僕達は食堂に残って会話を続けていた。
やがて4人だけになった後、
「みんなにちょっと提案? というか相談があるっす」
サスケくんはそう言うと、人差し指を立てた。
「俺っちがプレゼント交換で当てた花火、あれ、今日じゃなくて来週とか、期間空けてやりたいと思うっす。で、相談って言うのが・・・・・・」
「何でですか?」
ヒナタくんがきょとんとした顔で言葉を割り込ませた。
「何で期間を空けるんですか? これからやればいいじゃないですか」
「それは・・・・・・」
サスケくんが言い淀む。
そこにユウリくんが逆にヒナタくんに問いを投げる。
「ねえ、なんでヒナタはこれからやる方がいいと思ったの?」
「それは、自分達に『これから』なんて保証されていないからですよ」
ヒナタくんは光のない目でそう言った。
「明日誰かに殺されるかもしれないんですよ。そんな来週とか先の話なんてしてもしょうがないじゃないですか」
「・・・・・・確かにそうっすね」
サスケくんは小さく息を吐いた。
「ヒナタっちの言う通りっすね。ここでは明日がきちんと来るとは限らない場所っすもんね・・・・・・そうっすね。やれることはやろうっすね」
彼はそう言うと大きく深呼吸して、食堂の奥から花火セットを持ってくる。
「じゃあ今からやるっすよ。3人とも、一緒にやってくれるっすよね」
「いいよー」
「しょうがないですね」
「うん。せっかくだしやろうか」
僕達は快諾し、花火をするために食堂を出た。




