33話 2章 ~日常編~ - 10
中庭で遊ぼうとした思惑が意外な形で崩れた僕が向かった先は、娯楽室だった。
ここなら誰かいるだろうし、遊んで心もすっきりするだろうという目論見だった。
そしてその目論見通り、娯楽室には先客がいた。
しかも3人も。
「あ、コータ」
「コータっち」
「コータさん」
「ユウリくん、サスケくん、ヒナタくん。……ツバメくんはいないんだね」
この3人を見ると必然的にツバメくんもいるもんだと思ってしまった。
「ツバメさんは最近一緒にいないですよ」
「タケルっちの事件以来っすかね。なんか考えることがあるらしくて誘っても来ないっすよねー」
「そうなんだ。なんか寂しいね……」
「この建物の初日にみんなで探索した頃の記憶が懐かしいねー」
あの時は何が何だかわからず、みんなで色んな所を見て回ったな。
それから何かとこの5人で集まることが多かった気がする。
「まあそれはそれとして、コータも一緒に遊ばないー?」
「あ、うん。何していたの?」
「トランプで遊んでたー。さっきはブラックジャックだったかなー?」
「ユウリさんが強すぎるんですよ!」
「そうっすよ。だから必然的にディーラーやってもらっていたっす」
「みんなよく考えてみてよー。次に引く時にバーストっぽいの感じているのに引かなきゃいけないむなしさをさー!」
「ああ、能力的に強いよね、ユウリくんなら」
ブラックジャックは直感でぎりぎりまで行けるか見極められるから。
「まさかそれ、ユウリくんから提案したんじゃないの?」
「ひゅーひゅーひゅー」
「口笛吹けていないよ」
やっぱりそうか。
「だってー! 『能力』を使わないようにできないんだもん! ユウリだってハラハラドキドキしたかったー!」
「あ、『能力』って自由に使用するか否か分けられないんだ。それってユウリくんだけなのかな?」
「俺っちはユウリっちと同じっすね。強制的に条件が合ったら使っちゃうっす」
サスケくんが両目を手で覆った瞬間、僕の目の前も真っ暗になった。
「その条件って両手で目、耳、口を覆うことなの?」
「厳密には一部は片手でも出来るっすけどね」
パッと視界が明るくなる。
「口は片手で余裕ですし、目は片手で両目を覆えるじゃないっすか。耳だけは物理的に片手で覆えないから無理っすけど」
成程。該当箇所を覆う、が発動条件なのか。
「自分は意図的に『能力』を使うかどうかは決められますよ」
「あ、ヒナタくんは嗅覚の強化だっけ。確かに調整できないと常に色んな所の匂いを強制的に強調されるから大変だもんね」
「あー、そうですね」
「おならとかしたら気絶するかもねー。サスケー出番だー!」
「はいっす! ふんぬぬぬぬぬ!」
「やめろバカ猿! 実が出る実が出る!」
ここで実を出すのは勘弁してほしい。いや尻から空気を出すのも遠慮してほしいけれど。
「まあ、冗談はさておいてっす、今は何をするっすか」
「そうだなー。ユウリも直感で分かっちゃうゲームが正直いいかなー。あ、ブラックジャックのディーラーはやだよー」
「トランプで直感で分からないゲームって相当難しいですよね……ババ抜きとか神経衰弱とか、全部関係しますもんね」
「なら大富豪でいいんじゃないかな。直感で分かる範囲が他のゲームよりも勝敗に直結しないと思うし、もし他の人が来たら簡単に追加できるしね」
「大富豪かー。いいねー」
「賛成っす」
「じゃあ自分カード配りますね」
そこから、僕達は大富豪でかなり盛り上がった。
因みに余談だが
「がー! また負けたー!」
意外にもユウリくんが大貧民になっている時間がほとんどであった。




