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20話 1章 ~犯人の独白~

 最初に運が悪かったのは、牛場から話を聞いてしまったことかな。


 あいつは殺意について発散できるように自らをターゲットにするつもりだ、って話をな。

 そこで体育館という限定した場所がいいんじゃねえか、って提案した瞬間だったな。

 俺の中に今回の殺人計画が生まれたのは。


 体育館の入口を2か所にすれば、夜の間に殺せるんじゃないか、ってな具合に思いついちゃったんだよ。

 まあ、計画といっても思い付きで行動しちゃったからボロボロだったからな。


 体育館のペンキなんて、誰もいないところでやればいいのに、意図的じゃないことを見せようとして猫泉と鳥羽の目の前で行ったし。


 あの意味不明なメモ書きだって適当な紙に手書きで書いたし、指紋のことなんて後から気が付いたもんな。


 それでも実行してしまったんだよな。

 あいつを殺すことを。


 計画ではあいつがトイレとか飲み物を取りに行くとか、夜中の間に一度体育館を離れた時にそのメモ帳を置いて、ってやろうと思ったんだよな。

 何度もチャレンジすれば確実だろうし、逆ならそれはそれで移動すればいいと思ってたしね。


 だが、予想外だったのは22時よりも前に龍崎がやってきたことだな。

 これも運が悪かったな。

 見られるわけにいかないからずっと隠れていて声だけ聞いていたが、大分やり合っていたようだな。

 終わったのは22:00になるちょっと前くらいだったか。体育館の扉を開ける音で退室していったのが分かったからな。


 体育館にどちらか残っていたら見つかっていたかもしれないな。

 だが、幸運にも……いや、不運にも、か。どちらも体育館から出ていっていた。

 俺の計画は続いてしまったわけだ。


 次に入ってくるのが牛場であること、そして左側の扉が入ってくることという2択を能力によって当てた俺は、計画通り、体育館の上の方からメモをダーツで床に刺し、入ってくるのを待った。


 数分後。

 予想通り、いや、予定通り、か。

 牛場が入ってきて床のメモ帳に気が付いた。


 その隙に俺はスポットライトを真上から落としてあいつの後頭部に当てた。


 幸運にもちょうど22:00の放送と同じくらいだったかな。

 牛場が体育館の扉をきちんと占めていたのも幸いだったかもしれない。

 落下音が結果的に龍崎に聞こえなかったようだからな。


 あいつは一発で動かなくなったよ。


 そこからスポットライトをコードを利用して引っ張り上げて、上階から下へと降りてあいつの死体のそばまで行った。

 確認するまでもなく、死んだんだな、って分かった。


 非現実的だったよ。

 だけど、俺が殺したのは間違いがなかった。


 そこから俺は他の人に擦り付けようと色々とやった。


 まずは死体を移動させようと思ったな。


 それで、この時だな。指紋が残る可能性があるって気が付いたのは。

 衣服に指紋が残るかもしれない、ってね。


 だから倉庫からロープを持ってきて触らないようにした。ロープの方につく指紋は、持っていたところを切ればいいと思っていたからな。血が付く可能性があったから背負おうとは思わなかったな。

 完全なる思い付きだけど、いい混乱のさせ方だと思った。


 舞台の上までロープを使ってあいつの死体を引き上げた。

 因みに体に掛けて引っ張ったのは、首に掛けたらすぐにロープが外れたからだな。脇の下に入れて運んだ方が安定した。


 そこまでやって、2つ気が付いた。


 1つは牛場の死体がめちゃくちゃ重かったことだ。


 動かない人間を運ぶのって結構大変なんだな。

 本当は首を吊らせて死因も偽装しようとしたけれど、どう考えても吊るすことは重さ的に出来ないと思ってな。首に巻き付けただけで止めてしまった。


 2つ目は牛場の手に握られたメモのことだ。


 あれにはがっつり俺の指紋が残っている。

 なんなら筆跡だってバレてしまうかもしれない。……まあ、ここに来てから文字なんて書く機会なかったからこっちはほぼバレないだろうとは思っていたけれど。


 どちらにせよ残しておくのは得策ではない。

 そう判断したんだ。


 だが死体がカチコチに固まっていて、どうしても取れなかった。

 流石に諦めざるを得なかったな。


 ダーツの矢の方は別に指紋が残っていても俺は娯楽室で使ったことあるから、で押し通せるからいいとは思っていたが、こっちの方は手放していたんだよな。一応回収したけれども。

 どうでもよくないものが残るなんて、これも不運だよな。


 そして不運は続くものだ。

 色々と作業が終わった後、部屋外の適当なところに身を潜めておこうと思った矢先だ。


 1階に登る階段の所に、龍崎が寝ていたんだよ。

 たまたま気が付けたが、もう少しでも近づいていたら起きていたかもしれない。


 リスクを負うわけにもいかず、俺は一晩中、地下に居続けなければいけなくなった。

 

 いつ起きるか、もう起きているのか。

 見に行くわけにいかず、苦し紛れに思いついたのが、大音量のBGMを流すことだった。虎賀が言っていたのを思い出したからな。

 6:00のクウギョの放送を合図に鳴らして、予定通り龍崎を起こすことが出来た。

 入ってくる入口も分かったから倉庫に身を潜めておいた。


 ここまではイレギュラーもあったが、何とか出来た方だろう。

 問題は、あのBGMが、まさか2階では一部しか聞こえていない構造になっていたことだ。


 ここは最大級に運が悪かったな。


 あとはタイミングを見計らって様子を伺いながら倉庫から出て、何食わぬ顔でみんなと合流した。



 これが、俺の――

 運が悪かった男の犯行の、一部始終だよ。


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