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8話 捜索 ~1階 中庭~

 結局あの部屋は隅々まで探したものの目新しいものは何もなく、本当にただの空室だった。

 何もないことにホッとしたのかガッカリしたのか分からない感情を抱きながら、僕達は1階へと降りていった。


 最初に向かったのは吹き抜けになっている中庭だった。

 中庭に出る扉は建物の四方のど真ん中にそれぞれ1つずつ、計4つあった。


 草木が生い茂っており、太陽が出ている時に行けば昼寝とかも出来そうだ。

 今は夕方頃なのか、少しだけ薄暗かった。


「自然気持ちいーねー」

「確かに、外に出られなくても疑似的にここで外の空気を感じることは出来そうだね」

「そうだねー」


 ゴロン、とその場に転がるユウリくん。


「ねえ、見て」

「ん? なに?」

「ほら、一緒に転がってよ」

「わっ」


 ぐいっと引っ張られて僕も中庭に仰向けに寝っ転がる。

 空が見える。


「……何かある?」

「この建物4階建てだね~って思っただけ」

「……それだけ?」

「それだけー」


 何でもないじゃん、それ。

 僕は無言で立ち上がる。


「いやいや、コータ。これって結構重要なことなんだよ~」

「重要なこと?」

「だって、なんか隠し部屋とかそういうのないかなー、って目線で見て『何もなかった』んだよ~」

「つまりそれって、特に違和感とかはなかった、ってこと?」

「そういうことー。少なくともこの建物自体はおかしいとこはないかなー、っていうのがユウリの能力の結果ってこと」

「成程ね」


 確かにそう言われると重要なのかもしれない。

 だが、もともとふわっとしているユウリくんの能力だ。

 ユウリくん自体は信頼しているが、その能力について信用できるかというと、微妙なラインだ。

 だから、あくまでそういう結果だということだけ受け取っておこう。


 そう思っていたところ、


「おお、ここに落ちてたっすか。危なかったっすね」


 少し離れたところ、サスケくんが上を見上げていた。


「どうしたの?」

「いや、さっき俺っちが落ちそうになってたところを見て、実際にそうなってたらやばかったって話をしてたっす」

「確かに、下は芝生だけど、落下のショックを吸収できるとは思えないよね」


 青々と茂っているその場所に、ヒナタくんが飛び込む。


「こんな風に死んでいたかもしれないですよね、自分に感謝してくださいね」

「あ、こんな所に野良犬が」

「はいはい、ケンカしないの」


 ツバメくんがヒナタくんの手を取って起こす。


「あーあ、綺麗な芝生が荒れちゃったっすね」

「なんだと! ……あー、これはちょっと罪悪感出ますね」


 一瞬だけサスケくんにかみつく姿勢を見せたヒナタくんだったが、芝生に自信の倒れこんだ跡が残ったのを見てバツが悪そうな顔をする。


「あー、分かる。そういう感覚分かる。整っている」

「ねー」


 と言いながらユウリくんは芝生に飛び込んだ。

 ねー、じゃないじゃん。


 あきれ顔をしていると「そういえばさ」とツバメくんが僕に顔を向ける。


「ネコって高い所から飛び降りても大丈夫らしいね。コータ君はいけたりするの?」

「え? いやいや、僕はネコの干支……そもそもネコは干支じゃないけどさ……ネコって『能力』とか何もないし、そういうの出来ないよ」

「ふーん、そうか。そういえばそうだったよね」


 そう言ってツバメくんはユウリくんを引き上げにいった。


「……」


 さっきの質問。

 深い意味はなかったのかもしれない。

 だけど、僕はこう言っていると思ってしまった。


 落下すれば君も死ぬんだね、と。


(……そんなわけない)


 僕は首を振って何事もなかったような表情を作って、彼らの元へと歩いて行った。


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