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死に戻りの公爵令嬢は、三度目の人生もひた走る!  作者: とり
第二章 新天地

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46.寄り道でロック砦 ガールズトーク

「おはようございますっ。お嬢さま、ラナ様とロン様は帰られたのですかっ?」


「ええ、ラナがお酒飲んで歌い出したり、ロンがヤサグレて管を捲いたりとしてたのだけど、突然現れた黒鳥隊員のルークが仕事だって、二人を引き摺ってどこかへ行ってしまったわ」


「‥‥と、とにかく帰られたとは残念ですっ。冒険者パーティー『銀の杖』にブルー、レッド、イエローといるので、ピンクとグリーンが揃えば最強だったのですがっ」


「イエロー? ひょっとして、イリシオンかしら?」


「はいっ、金髪なので。バランスでロン様はグリーン、ラナ様は髪色が赤ですが、私とキャラ被るのでピンクを担当していただけたらとっ」


「ふふふっ、色はともかく、特級王宮魔術師が二人も入ると確かに最強になりそうね」


いつも居間にはテリーとクリスの二人が揃っているのだが、今日はクリスが見当たらない。


「ところで、クリスはいないようね」


「はいっ、最後の夏薬草の採取に出かけましたっ。日暮れまでには戻るそうですっ」


「最後の夏薬草‥‥もうすぐ夏が終わるわね」


「はいっ、食堂のおかみさんによると、もう何日かすると秋風と共に涼しくなってくるそうですっ」


もうすぐ夏が終わる。テリーがコポコポと紅茶を淹れるの眺めながら、何か忘れているような気がしてすっきりしない。何だったか‥‥。しばらく考えに耽った後にハッとした。


「あっ、ウィルソン辺境伯閣下の事をすっかり忘れていたわ‥‥」


テリーは動きを止めて唖然としている。



思い起こすと、夏の初めにウィルソン辺境伯領近くで森人イリシオンに出会って、イリシオンのお宅訪問。その後に軽い気持ちで魔の森見学でロック砦に向かった。


それから、ロック砦で冒険者登録したり、冒険者ギルド長でもあるトットにも再会したり、拠点として宿を借りたり。


ひょんなことで白銀しろがねに出会ったことがきっかけで、特級王宮魔術師数名と洞窟探検と調査をすることにも。


そして、洞窟で不思議な体験の後に何故か与えられた力の制御を練習する羽目になって‥‥‥と驚くほど密度の濃い夏である。



黒ひよこのピヨちゃんを通して、こまめに王都の黒鳥隊長でもある従兄のロズウェルと連絡を取っているが、ウィルソン辺境伯領ではどうだろうか。自分でも見事な忘れっぷりに開いた口が塞がらない。


「‥‥入領して既に三月近く。ウィルソン辺境伯領で私達は行方不明の扱いかしら?」


「ご連絡を取られないことも、てっきり何か深いお考えがあってのことかとっ‥‥」


「一冒険者として、みんなと楽しく充実した日々を過ごしていて、その、失念していたと言うか‥‥」


驚いた様子で目を白黒させていたテリーが、良い考えが閃いたとばかりにポンと手を打った。


「ごほんっ、でしたら、言い訳ならお任せくださいっ。えー、お嬢さまは筆頭王宮魔術師団長ロズウェル第二王子殿下の緊急な御下命で魔の森の単独調査をなされたのですっ。えー、それ故、辺境伯閣下のご挨拶が遅くなってしまったのは致し方なかったかとっ」


「まあ、見事な言い訳ね。流石テリーだわ!」

テリーは得意げに鼻を膨らませて見せた。



「なら、大まかな予定を決めましょう。まずは冒険者パーティー『銀の杖』。東へ三日の中西部城塞都市ブラックストーンで拠点、小さな屋敷を買うのはどうかしら?」


王国最大の冒険者ギルドがあるブラックストーンには多大な情報と依頼が集まり、多くの冒険者パーティーが拠点を置く。


「詳細は『銀の杖』の裏ボス、テリーに任せるわね。討伐に鉱石や薬草採取で得たパーティーの資金を使い、クリスとよく相談して決めてね」


これからも冒険者としての活動拠点の話をすると、テリーは嬉しそうに満面の笑顔を見せた。


「冒険者パーティーの『銀の杖』についてはこれで終わりね。次はウィルソン辺境伯閣下。領都ウィスターまで、ウィルソン辺境伯閣下にご挨拶に伺いましょう。年間を通して薬草の調査をしたいから、と長期滞在の許可をもらう予定よ」


「はい、了解ですっ! 翌年秋のご婚姻の儀までですねっ」

「あっ、それもすっかり忘れていたわ‥‥」

「‥‥‥‥」


まだ時があるので、そのことについては追々考える事にする。休憩とばかりに紅茶で喉を潤しながら、市場で買った『どうや!』パンを齧っていると、静かにカップの紅茶に目を落としていたテリーが真剣な顔をして切り出した。


「あのっ、クリスとも昨日話をしていたのですが、お嬢さまはすっかり美しく大人ぽくなられて、それにこの一年で魔法も剣術も上達されて‥‥。


そのっ、手短に申しますと、お嬢さまに相応しい護衛騎士として箔を付けたい‥‥かなと。秋に辺境伯領で行われる剣術大会に参加してもよろしいでしょうかっ」


突然出てきた剣術大会について話を聞くと、領都ウィスターの秋祭りで剣の腕を競う勝ち抜き試合があるそうだ。兵士だけではなく、腕に覚えるのある冒険者も参加するその剣術大会は男女に分かれて毎年白熱するという。


王都での正統派、剣と盾の剣術ではなく、辺境での我流で生き残りの剣術。


「そこでっ、優勝できたらいいかな‥‥と」


「ふふふっ、勿論参加していいに決まっているわ。『人生は挑戦の連続だ。自分自身の最高を目指せ』が三百五十二歳のイリシオンおじいちゃんの言葉よ。全力で挑戦して楽しんできて」


言い忘れたので付け加えた。


「負けても勝っても、テリーとクリスは大切で最高な私の護衛騎士よ」


そう言うとテリーが嬉しそうに破顔した。

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